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テクノロジー

学生向けハッカソンに参加して得られること

ニュース開発本部の爲房(@stamefusa)です。
普段はニュースのサーバサイドの開発をしていますが、今回は兼務で運営している学生向けハッカソン「Hack U」について書きたいと思います。

Hack Uとは

弊社では長年Hack Dayというハッカソンを開催してきました。
Hack Dayでは24時間で開発、90秒で発表というルールのもと、毎回多くの方が参加しています。
自分のアイデアを形にする面白さや新しい技術や言語へのチャレンジ、発表やデモ展示を通じて作ったものへの評価を受けられるなど、毎回得られるものが多いため私も楽しみながら参加しています。

この楽しさをもっと広めたい、ということで始めたのがHack Uです。
弊社ではこれまで20の教育機関で30回以上開催してきました。
UはUniversityの頭文字であり、最初は大学生を対象に開催していましたが、最近では高専生や中高生も対象に開催することもあります。
オープン開催もありますが、基本的には大学の先生方にご協力いただき、大学にお邪魔したり弊社に来てもらいながら開発してもらっています。
(これまでの開催はこちらのサイトをご覧ください: https://hacku.yahoo.co.jp/

Hack Uでは他のハッカソンと同じく「自分たちで発想したプロダクトを、決められた期間内に開発し発表する」という形式で開催していますが、異なる点もあります。
それは、「弊社の社員がチューターとして学生のサポートをする」という点です。
開発中にぶつかった問題の解決策や、そもそもどのようにアイデアを考えれば良いか、アイデアはあるがどのように開発したら良いかわからないなどについて、参加学生は気軽に質問することが出来ます。

通常のハッカソンは「独力で開発することが出来る人」が出るものというイメージがあります。
私も学生の時はそうだったのですが、「何か作りたいものはあるが、どうやったらいいかわからない」という人にとってはハッカソンは参加のハードルが高いように思います。
そのような「どうやったらいいかわからない」学生にも参加してほしいと思い、Hack Uではチューター制度を設けました。
「全然わからないけどとりあえず参加してみよう」とか、「友達が参加するから自分も参加してみるか」くらいの感覚で参加してもらうのが大事です。
自分たちが考えたものを実際に作るという成功体験が、最初の一歩を踏み出すきっかけになると思います。

まだまだWeb業界は就活生には充分に目を向けてもらえていないと感じています。
まずは自分で手を動かしてプロダクトを作る楽しさを感じてもらい、Web業界に対する関心を上げることが必要だと私たちは考えています。
リクルーティングをゴールとして始めたわけではないのですが、おかげ様で昨年度、今年度と弊社の新卒にもHack U参加歴のある社員が増えてきました。
企業文化を知ってもらった上でエントリーしてもらう・入社してもらう、という方が企業・学生ともに良い効果をもたらすのではと思います。

ハッカソンの良さは「プロトタイプドリブン」な開発を体感出来ること

Hack Uでは開催校のスケジュールに合わせて3日間〜1ヶ月間程度の開発期間を設けています。
参加した学生の皆さんからは「短い期間でものを作るという経験が出来て良かった」という感想をいただくことが多いです。

「Hack U 筑波大学 2015」の参加チームで印象に残ったチームがあります。
彼らは元々「スマホの操作に合わせて箱の中の音や光を変化させる」というデバイスを考えていましたのですが、一旦作ったもののしっくり来なかったのか、家電製品のような箱から中が透けるボトルに変更しました。
すると音や光が漏れ出てきて一気に印象が変わり、「秋の虫の音が聞こえてきて、中に何かいるように感じられる」というコンテンツが生まれるなど、プレゼンもストーリーがわかりやすく一貫したものになりました。

こういった経験は、開発期間が決められているハッカソンならではの「自分たちが考えているプロダクトの最もコアとなる部分を開発し、評価し、ブラッシュアップしていく」という経験、利点であると私は考えています。
期間の制約により「コアとなる部分しか開発出来ない」という状況にならざるを得ないため、プロトタイプを開発しては練り直すというサイクルを爆速で回す事が出来ます。
これはまさにアジャイルやリーンで言われているところの実践にあたるのではないでしょうか。

教える立場で得られること

チューターで参加する社員にお願いしていることがあります。
それは、「学生が抱えている課題を発見してほしい」ということです。
技術的な質問にすぐに答えられる、ということはそこまで求めていません。
専門外の質問が来る場合がありますし、詳しい社員に社内チャットで相談することが出来るからです。
むしろ今どのようなことで困っているか、何がわからないかを見つけてもらうことが大事だと思っています。

今まで開催してきた中で、課題の多くは以下の3つに分類出来ると感じました。

  1. アイデア自体がまとまらない。もっとブラッシュアップしたい。
  2. アイデアは浮かんだが、どのように開発したら良いかわからない。
  3. 開発しているが、うまくいかない。

1については、開発したいもののコア・バリュー、一番大事なことが何かを見つけることが解決策として求められるように思います。
「○○するようなサービスを作りたいとなんとなく思っています」というような相談があったとして、なぜそれを作りたいと思ったか、どこが面白いと思ったかを見つけることが重要です。
そこからさらにアイデアを発展させたり、別の切り口でアイデアを考えられるようになったりします。

2については、エンジニアであれば普段の業務でもやっていますが、要件定義や設計をいかにわかりやすく伝えられるかが問われます。
初心者が多いチームであれば、こちらで考えた構成を天下り式に教えるという方法も有用です。
開発期間が決まっているため、求める機能をすべて開発するのは往々にして難しかったりします。
一番大事な機能は何か、プロダクトの魅力を伝えるのに最低限必要な機能は何かを明らかにして優先順位をつけ、期間内に収まるように導いてあげるのも重要な役目です。

3については課題は明確です。
どのようなバグが起きているか、エラーログはどうなっているかといったことをヒアリングして、原因を特定し解決策を提示することが求められます。

プロジェクトマネジメントや新卒OJTのメンターといった業務では、こういったメンバーの課題発見のスキルが求められるように思います。
このような経験は、本アドベントカレンダーのテーマでもある「Yahoo! JAPANを支える技術」を支えることに充分に役立つのではないでしょうか。
特に若手社員にとっては、そのような意味で良い経験が出来る場になっているのではないかと考えています。

私自身もチューターとしてよく参加するのですが、教える側は大変なこともありますが、やはり楽しいの一言に尽きると思います。
開発終盤は大体どこのチームも追い込みで、進捗確認を投げかけても返ってこないことが多く心配になるのですが(笑)、発表当日になるとしっかりと動くところまで完成させて発表している様子を見ると「ああ、ちゃんと動いてる!良かった!」と嬉しくなります。なんだか親の気持ちですね。
自分たちで考えたアイデアを一生懸命実現させようとする学生の姿に、参加したチューターもアンケートで「刺激になった」「モチベーションがアップした」「若さがなくなってきていることに気付けた」などの感想を抱いたようです。

ただ学生とチューターのコミュニケーションはまだ課題も抱えています。
学生にとっていきなり社会人にわからないことを話せというのはなかなかハードルが高いものです。
相談しやすい関係を作るため、始めの顔合わせの際にアイスブレイクを設ける、チューター同行でオフィスツアーをするなどの取り組みを始めています。

おわりに

学生向けハッカソン「Hack U」についてつらつらと書いてみました。
社員がチューターとして参加すること、そして多くの学生が参加することで、双方にとって良いことがあると思っていますので、今後も開催していきたいと考えております。固いことは抜きにして、第一に楽しいですしね。

これを読んでハッカソン自体に興味を持った方、2/13・14に弊社が主催する日本最大級ハッカソン「Hack Day 2016」が開催されます。
24時間開発・90秒発表という厳しくも本当に楽しいイベントです。
明日12/14正午からエントリー開始ですので、是非こちらのページからお申し込みください。

Hack Day 2016 : 24時間ぶっとおしプログラマーフェス! 日本最大級ハッカソン、今回は2/13〜14に秋葉原で開催決定!(先着申込12/14から) #hackdayjp
https://hackday.yahoo.co.jp/

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