テクノロジー

2021.10.05

学生たちがハッカソンで使う技術トレンドは半年で変わったか?

こんにちは、Developer Relationsで学生向けハッカソンHack Uのプロデューサーを担当している中村です。

今年の夏も暑い日々が続いていましたが、ようやくそれも落ち着きつつあります。そんな中、今年も学生たちに熱い夏を過ごしてもらおうと、Open Hack U 2021を開催しました。この記事では、Open Hack U 2021の様子とともに、昨年のハッカソンからどのように利用技術や言語が変化していったのか多角的にひも解いていきます。

集合写真

イベントのサブタイトルに込めた想い

Open Hack U 2021ロゴ

Hack U はヤフー主催の学生ハッカソンです。他のハッカソンとの大きな違いは、ヤフー社員がさまざまな面でサポートを行う点です。これまでにも多くのHack Uに関わる記事を書いてきておりますので、詳細はこのページ末尾にある「おすすめの記事」やHack U公式サイトのコラムからご確認いただければと思います。

昨年のタイトルは「今はまだないあたりまえを創ろう」でしたが、昨年はコロナ禍で初めての開催ということもあり、新しい考え方やこれまでになかった発想をしてほしいという気持ちで、このようなタイトルをつけました。たくさんの新しいアイデアから素晴らしい作品が生み出された昨年に続き、今年のタイトルは「眠るアイデアに、光を。」と題して開催しました。今まで考えてきたアイデアや、今回考えたアイデアを実現することで、新しく世界を切り開くきっかけが得られるような作品が出てくるのを期待して、設定しました。

Open Hack Uでは毎年このようにタイトルを設定していますが、これは学生たちに自由な発想でものづくりをしてもらいたい、アイデアにはさまざまな可能性があるということを知ってもらいたい、という気持ちで設定しています。その結果、今回も多くの素晴らしい作品が誕生したので、それらの作品をご紹介します。

各開催の最優秀賞

Open Hack U 2021は今年も新型コロナウイルスの影響に鑑みてオンラインで全2回開催しました。学生たちにとって夏の風物詩のようなものにしていきたいと思いながら毎年開催していますが、両開催ともに1日もたたず申し込みが埋まってしまったところを見ると、学生の皆さんにも「夏にはHack Uがある」と思ってもらえているのかもしれません。その一方で、エントリーできなかった学生たちが多くいるというお話も伺っています。参加できなかった学生の皆さんには期待に沿うことができず申し訳なく感じています。この点については次回の開催までに見直し、できるだけ多くの皆さんが参加できるよう取り組んでいきたいと思います。

今年は2開催で全54チームがエントリー。素晴らしい作品はたくさんありましたが、今回は最優秀賞を獲得した2作品をご紹介します。Open Hack Uの審査基準は以下の4つで、総合的に優れた作品が最優秀賞です。

  • 新規性(技術や組み合わせのオリジナリティーがあるか)
  • 技術性(利用している技術は高度か)
  • 発展性(将来どの程度の波及効果が期待できるか)
  • 再現性(アイデア、プレゼンテーションだけではなく実際に動くものがあるか)

今回最優秀賞を受賞した作品は、当日参加学生たちが投票して決めるHappy Hacking賞も受賞しており、審査員だけでなく学生たちからも認められた作品となりました。今回は最優秀賞のみご紹介していますが、他にも素晴らしい作品が多数発表されました。当日の様子はYouTubeのHack Uチャンネルでも公開しておりますので、他の作品が気になる方は合わせてご覧いただければと思います。 

参考:Hack UのYouTubeチャンネル(外部サイト)

作品名:スローターム(ONLINE Vol.1 最優秀賞)

  • チーム名:この素晴らしいコードに祝福を!

開発時に発生するプログラミングのエラーをワンタップで共有してくれるVSCodeのプラグインと、共有先のSNS両方を作り上げた作品。エラーをハイライトさせるだけで必要な情報を書いてくれたり、GitHubアカウントでログインさせることで、利用者がよく書いている言語の判定をして、答えられそうな質問をレコメンドするなど、かゆいところに手が届くようなサービスです。

新型コロナの影響で、オンラインで開発する機会が増えていますが、その反面、質問がしづらくなっているという課題を解決してくれる良いサービスだと思います。また、UI/UXもよく考えられており、使う人のことをよく考えられた作品に仕上がっていました。

作品名:3pt Manager(ONLINE Vol.2 最優秀賞)

  • チーム名:OAO

バスケットボールのスリーポイントシュートをiPhone1台で身につけられるようにするアプリケーション。ゴールの位置をアプリ上であわせ、iPhoneをセットするとボールを判定し、シュートごとにボールの軌道を取得。打ったシュートの角度が何度くらいだったかというデータを蓄積して、毎日の練習結果をグラフとして表示させることで、利用者自身の成長も感じられるのが非常に良かったです。

開発期間中にデータを取得しながらアプリの精度をあげる部分に時間がかけられていることや、iPhone1台で使えることで、老若男女問わず誰もが利用できる作品に仕上がっており、発展の可能性も大いに感じました。リリースされたらぜひ使いたい作品の1つです。

作品、利用技術のトレンドに変化はあったのか

2020年春開催後に公開した記事では2020年年間の作品傾向や利用技術をまとめました。

前述にもありますが、新型コロナウイルスの影響に鑑みて今年度の開催もオンラインで開催し、集まって開発することを禁止としました。昨年と同じ状況での開催ということもあり、学生たちにもオンラインでの開発に慣れてきたようにも感じます。今回の記事では半年たって、利用されている作品傾向や、利用技術のトレンドに変化があったのかを見ていきます。

作品傾向には変化なし

作品形態

今年の作品傾向を上図に示します。昨年度の作品傾向はWeb,モバイルアプリケーションが主軸でしたが、上図を見てもわかるように、夏開催については大きな変化がなく、Web,モバイルアプリケーションが主軸となりました。昨年もそうだったように、対面開発ができないというルールではハードウェアを作成するコスト、デバッグコストが大きくなっており、2週間という短期間の開発には向かないと判断しているチームが多いようです。

さまざまなソフトウェア作品がでてきた中、今回特に多かったのがタスク管理をしてくれるアプリケーションでした。ハッカソンでは自分たちが感じている課題を解決しようとする作品を多くみることができます。つまり、学生たちにとって一番解決したいと考えている課題が「タスク管理」の可能性が高そうです。

コロナ禍で授業がオンライン化したことで、レポートや課題が増えたという話をわれわれも学生たちから聞いています。おそらくそういったものの管理が大変であることから、タスク管理系の作品が増えたと推測しています。解決方法はそれぞれで、ゲーミフィケーションを用いたり、複数人で使うものなどがあり、非常にユニークでした。

クロスプラットフォームフレームワーク利用チームの増加とDockerの根付き

使用言語と技術

続いて使用されていた言語や技術について見ていきます。今回特筆すべきポイントは以下の3点です。

  • Ruby利用チームの増加
  • クロスプラットフォームフレームワークの利用チーム増加
  • Dockerの浸透

まず、使用言語の利用状況を見ていくと、引き続きJavaScript,Pythonが作品の大半を占めているのがよくわかります。このあたりは昨年からの変化はありませんでした。JavaScriptやPythonは学校の授業や研究でもよく扱われている言語でもあり、フレームワークやOSSなども多く公開されているため、これらの言語の利用率があがるのは必然なのかもしれません。それに次ぐ3番手として、今年はRubyを利用するチームが増えたというところが興味深いポイントです。昨年度Rubyを利用した作品は全体の1割にも満たなかったにもかかわらず、今回は全体の15%を占めるという結果になっています。こうなった結果を推測してみましたが、参加した学生たちの年次に変化がありました。参加学生のボリュームゾーンは大学3年生と変化がなかったのですが、今年は大学2年生がかなり多く参加してくれました。若手の学生が増えたことで、授業で利用されている言語や、手軽に始められる言語を使うチームが増えたのではないかと推測しています。

続いてクロスプラットフォームフレームワークの利用チームが増加している点が特徴的でした。前年の開催では利用チームが少数いましたが、今回は夏開催だけで前年と同等の利用チーム数となりました。Flutter,React Native,Xamarinなど代表的なクロスプラットフォームフレームワークを利用して作ることで、iOS,Android,Webすべてに対応した作品ができるのは大きなメリットだと言えます。一部の機能を除いてOSネイティブの機能にも対応しているため、継続開発することを考えているチームやサービスの公開を考えているチームが使っていそうです。

最後がDockerの浸透です。これまでにもDockerを使ってサービスのデプロイのことまで考えて作ってきたチームはいましたが、今回そのチームが大幅に増えました。Dockerはヤフーでも利用されていますが、学生にも浸透し始めてきていることを考えると、今後ハッカソンにおいても環境構築する際のメインストリームになるのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。前回の記事から半年たちましたが、学生たちの作品傾向に大きな変化はありませんでした。やはり集まることができない制約を課したままだと作品の傾向はなかなか変わらなさそうです。今後ハイブリッド開催になった時にどのように変化するかが楽しみです。また言語や技術についても大きな変化はありませんでしたが、より新しい技術に置き換わっていることは見えてきました。もう半年たつと今回目立ちはじめた技術がトレンドになる可能性もありそうです。

近年、学生たちがハッカソンで作る作品のレベルはどんどん上がってきており、中にはサービス化されているものと遜色ない作品も出てきています。これは開発ツールが日々進化している点と、学生ならではの柔軟な発想が相まって、お互いに相乗効果を生み出しているからだと私は考えています。ヤフー社内で行われているハッカソンからサービス化されることもあるので、Hack Uからも次世代のサービスが生まれてくることを期待して開催を続けていければと思います。

次のOpen Hack U 2021は春開催を予定しています。時期は調整中ですが、決まり次第Hack UのTwitterアカウントでご案内します。Hack Uはヤフー社員がフォローしながらものづくりを進めるハッカソンイベントですので、これからものづくりを始める学生さんでも大丈夫です! 今回参加できなかった学生の皆さんや、これからものづくりを始める学生の皆さんは、よろしければフォローの上、ご案内までお待ちいただければと思います。

参考:Hack UのTwitterアカウント(外部サイト)


中村 友一
CTO室 Developer Relations Hack U プロデューサー
学生向けハッカソンHack Uのプロデューサーとして、全国の学生の皆さんにものづくりの面白さを伝えていくのがお仕事です。

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