テクノロジー

2020.12.16

ヤフーのスクラム開発実践者の経験年数ごとの学習方法の紹介

Yahoo! JAPAN Advent Calendar 2020の16日目の記事です。

こんにちは! アジャイルコーチの荒瀬です。
ヤフー、および関連会社のアジャイル開発支援や研修を担当しています。

今回はヤフーのスクラム実践者の学習方法についてお話しします。
イベントや研修の中で、スクラムの勉強方法をいろいろな方から質問されることが多かったので、記事にするとより多くの人の役に立つのではないかと思い執筆することにしました。
また、せっかく書くのであれば、ヤフーの中にいるさまざまなスクラム実践者の話も交えると、経験年数別に、より参考になりそうな書籍、セミナーや研修を紹介できるのではないかと考え、ヤフーのスクラム経験者にも協力いただいています。
スクラムを始めた頃の自身のことを考えながら、こういう記事があるといいのにと思っていた内容を記事にしました。
ここに掲載している書籍やセミナーはヤフーのスクラム開発実践者にアンケートをとり、集計したものです。
皆さんのスクラムの学習方法について参考になれば幸いです。

ヤフーのスクラム実践者がよく読んでいる書籍

実践経験1〜2年の方が読んでいる書籍

  • アジャイルサムライ 達人開発者への道
    スクラムを実践するためのパターンやガイドが盛り沢山です。この本に書かれているガイド的な手法は簡単に試せて、効果を早期に実感しやすいものばかりです。
  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK
    挿絵が多く、ストーリー性があり、漫画のように口語でわかりやすい言葉で説明されているため初心者の方にはとても読みやすいです。
  • エッセンシャルスクラム
    スクラムの詳細までしっかりと書かれ文章も丁寧でかつシステマチックな挿絵がスクラムの全体像を把握しやすい一冊です。
    フレームワークの細部にわたって網羅されていますので入門書として活用できるだけでなく、レファレンスとしても重宝します。

実践経験2〜3年の方が読んでいる書籍

実践経験3〜5年の方が読んでいる書籍

実践経験5〜10年の方が読んでいる書籍

  • 世界はシステムで動く いま起きていることの本質をつかむ考え方
    “世界がもし100人の村だったら”の著者ドネラ・H.メドウズ氏によるシステム思考について書かれた本です。世の中で起きていることをシステマチックに分析し、事の起こりうる構造を理解する方法論について書かれています。チームや組織の課題改善にとても役に立ちます
  • チームが機能するとはどういうことか EdmondsonAmy
    機能するチームとはチームメンバーが団結し成果を出す働き方のことで、本書ではチーミングと呼び、チーミングの条件や活動について詳細に書かれています。良いチーム状態を客観的に捉え、把握できる書籍です。

手法がわかりやすい書籍から特定領域の専門書や組織論へ

挿絵が多く口語で書かれストーリー性のある文章は、読みやすくスクラムの入門書として人気でした。
またスクラムの流れにそってフレームワークを章立てにした書籍は、レファレンスとして活用しやすく幅広い経験者に好まれています。
実践経験が長くなるほど、システム思考やユーザーストーリーマッピングなど限定された専門領域を学習する傾向が見えました。

私が考えるスクラム開発者に読んでほしい書籍

ここからは上記の書籍以外で私が考えるスクラム開発者に読んでほしい書籍をご紹介いたします。

  • SCRUMMASTER THE BOOK
    スクラムマスターは役割を果たすために状況に応じた打ち手が多岐にわたります。故にどの打ち手をとるべきか迷う経験年数の浅いスクラムマスターは少なくないと思います。
    この本はとても読みやすく、またスクラムマスターの活動レベルごとの活動フォーカスポイントや必要スキルについて書かれておりスクラムマスターとして成長したい方にはぜひ読んでほしいです。
  • みんなでアジャイル 変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
    なぜアジャイル開発が必要なのかという疑問や、スクラムのマインドセットについて学べます。アジャイル開発が選ばれる背景や理由を知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時はこの本を読むと良いと思います。組織上の全ての方と一緒に顧客中心な組織作りを進める時に起こりやすい問題とその改善についての知りたい方向けの一冊です。
  • トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして/大野耐一
    トヨタの無駄を徹底的に排除した仕組み”トヨタ生産方式”について解説されています。
    “ジャスト・イン・タイム”、”現地現物”などスクラム実践に活用できるものがたくさんあります。
    イテレーション開発について、またプロダクトバックログの作り方やプロセス改善についてヒントを得たい方に読んでほしいです。

他にも紹介したい書籍はありますが、今回はこの辺にしておきます。

ヤフーのスクラム実践者がよく参加していた勉強会

続いてヤフーのスクラム実践者がよく参加していたイベントや研修について紹介します。

実践経験1〜2年の方が参加したイベントや研修

  • 社内のスクラム初心者向けセミナー
  • 社内のスクラムマスター同士の意見交換会

実践経験2〜3年の方が参加したイベントや研修

実践経験3〜5年の方が参加したイベントや研修

実践経験5〜10年の方が参加したイベントや研修

社内研修やセミナーから、徐々に社外のイベントや認定研修に参加する傾向

ヤフーには社内向けにアジャイル開発に関連したセミナーや研修があります。
スクラムの概要セミナーから、スクラムマスターやプロダクトオーナーなどロールごとの研修やチームビルディングに特化したものなどさまざまです。
新卒向けアジャイル研修も実施されました。
これからスクラムを始める方や始めたばかりの方をターゲットにしたものも多く、スクラム実践1〜2年の方が気楽に学べます。
また、不定期ですが社外に向けたセミナーや研修もあります。ぜひこちらのconnpassをチェックしてみてください。
またある程度のスクラム実践経験を積むと社外へのイベントや研修に参加する傾向が見られました。
社外のコミュニティには経験者同士が意見交換できるSlackの専用チャンネルや、アジャイル開発について情報を共有するチャンネルもあり、幅広く学べる環境があります。
スクラム実践者の経験談や実際に議論できる場として以下をご用意しています。

  • スクラム実験室(外部サイト)
    ヤフーの社員と他社のメンバーで立ち上げたコミュニティです。
    スクラムの概要セミナーから、実践事例までセミナーやワークショップを通して理解を深めてくれます。
  • Yahoo! JAPAN Agile
    ヤフー社員によるスクラムの事例発表やセミナーイベントです。
    書籍にはない実際に現場で起こった問題や、スクラム実践者による工夫や改善事例を紹介しています。
    参加者とのコミュニケーションを大切にし、疑問や質問にスクラム実践者が丁寧に答えてくれます。記事にもなっているので、読んでいただくと雰囲気がわかるかと思います。
    ヤフーのアジャイル開発事例を紹介”Yahoo! JAPAN Agile 1st”

私が参加してきた研修

私が今まで受講してきた社外研修をいくつか紹介します。

上記研修の魅力は講師からの一方通行な講義ではなく、対話を通して自分の思考がアップデートされることです。
ナレッジはもちろんたまりますし、現場に戻った後の活動についてヒントを得られるのがとても良かったです。

過去の自分にどんなアドバイスを送るか?

最後にスクラムを始めた頃の自分へアドバイスできるとしたら、どんなことを伝えるかヤフーのスクラム開発実践者に尋ねてみました。

実践経験1〜2年の実践者が過去の自分に送るアドバイス

  • 最初は、スクラムのフレームワークに忠実に従うよう心がける。
  • 各ミーティングなどその意義に疑念を持つこともあるが実践し続ける。
  • まずスクラムを体感し、次にエッセンシャルスクラムといった教科書との差分について考える。

実践経験2〜3年の実践者が過去の自分に送るアドバイス

  • 「他のチームも使っているから」という理由だけで1つの手法を続けるのではなく、他の手法も取り入れて最適な方法を見つける。
  • 最初から最適解はないので、実践し立ち止まり考える(フリカエル)。
  • 解決したい疑問を感じたら抱え込まずチームに共有すること。

実践経験3〜5年の実践者が過去の自分に送るアドバイス

  • 実践前に型を学び型どおり進めるのは大事だが、型に囚われることで苦しむくらいなら楽しむことを選択する。
  • スクラム促進・実践は1人では困難だから仲間を見つけること。
  • スクラム、アジャイルの歴史や必要性を理解することと、根本にある原則を忘れないこと。
  • 最初から完璧に進めることは難しいからコーチと相談しながらプロセス設計すること。

実践経験5〜10年の方のスクラム始めた頃の自分にアドバイス

  • 継続することで必ず効果が現れるので根気よく実践し続けること。
  • チームが活動する中で最も実現したい最重要指標を決めること。
  • フレームワークの表面的な理解ではなく、本質を理解するために探求すること。
  • 継続的に学習することで経験・知識が得られるので諦めないこと。

最後に

今回ヤフーのスクラム実践者に学習方法を聞いてみましたが、書籍、セミナー、研修からの学習がほとんどでした。
人気のある書籍や研修は、社外でも評判が良いものが多かったです。

最後に私が普段心がけている学習方法を紹介します。
うろ覚えから知識へ
学習しただけではなんとなくの理解、うろ覚えの状態が多いです。説明や語ることで知識に変換されていくので学習したことはアウトプットすることを心がけています。
マネからモノへ
書籍、研修を参考にすることがあります。ただし単にマネるのではなく、自分流に作り直します。うまくいかないことも多々ありますが自分流に変える過程で禹行舜趨ではなく少しずつ自分のモノになることを実感します。


荒瀬 中人
アジャイルコーチ
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