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テクノロジー

社員もクリエイターとして成長できる、企業が学生向けハッカソンを開催するメリット

Yahoo! JAPAN Advent Calendar 2020の4日目の記事です。

CTO室Developer Relationsの山岡です。
今回は私が運営に関わっている学生向けハッカソン「Hack U」に関わっている社員へのインタビューを紹介します。

Hack Uに携わっている社員のほとんどは普段別の業務を行っています。
この記事では、普段の業務とは別の業務としてプロジェクトに参加することで、参加している社員はどのようなものが得られているのかお話ししていきます。業務の幅を広げることで得られる成果の一例としてご覧ください。
また、学生読者の方々にはHack Uが出来上がる裏側で社員がどのような思いで運営しているのかを、知っていただければ幸いです。

Hack Uとは?

Hack Uロゴ

Hack Uは、学生に自分で手を動かしてプロダクトを作る楽しさを感じていただくハッカソンです。自分たちが考えたものを実際に作るという体験から、ものづくりを始めるためのきっかけをつくる、という思いの元、ヤフーが2012年から開始しています。
くわしくはヤフー主催の学生ハッカソン「Open Hack U2020」今年はオンラインで開催の記事をご参照ください。

クリエイターとして成長するためにいつもと違う活動に携わる

ヤフーには多様な人財が活躍し続ける風土があります。
社内外のクリエイターと関わることができるDeveloper Relationsでは、アソシエイト制度という制度を設けています。普段サービスの開発などに関わっている社員を対象に、業務稼働の1〜2割の範囲でHack UやTech Meetupのような社外向けイベントの運営活動に参加できるものです。

参考:カルチャー - 制度・環境 - 採用情報 - ヤフー株式会社

Hack Uをはじめとした普段と違うタイプの仕事に関わることで、よりクリエイターとして成長できると、私自身も感じています。
今回は、私の他にも実際にHack Uの運営に携わって、成長を実感している2人の社員にインタビューしました。

運営に関わることで、技術トレンドを捉えることができた

瀬尾

Open Hack U Vol.2 プロジェクトマネージャー 瀬尾

  • 2018年に新卒でヤフー入社、3年目
  • 愛媛にある高専で情報工学の勉強をしており、学生時代にHack U KOSENに参加
  • 主務はYahoo!ニュースやYahoo!ショッピングなどで表示されている動画のプラットフォームやアプリの開発、運用

ものづくりの楽しさを後輩たちに伝えたい

自分自身が学生時代にHack Uに出場して、ものづくりの楽しさを感じました。
その経験を通じて得られた楽しさや、成長できることを後輩たちに伝えていきたいという思いで今Hack Uを運営しています。
高専出身なので、高専生のものづくりにおける独創性をより広めて活躍できる場をつくっていきたいです。

プロジェクトマネージャーへのチャレンジ

2020年夏に開催されたOpen Hack U Online Vol.2のプロジェクトマネージャーを担当しました。
入社3年目でサービスのプロジェクトマネージャー(以下PM)を担当するということはなかなかないのですが、Hack Uでは挑戦したいという気持ちとやる気があればPMを任せてもらえるため、このような形でマネージャーを経験できてとても良い経験になりました。
具体的なタスクとしては説明会、イベント、発表会などの運営計画やタスク管理、サポートメンバーへの指示を中心に、参加された学生への諸連絡や、イベント当日には会全体の監督役も行いました。

大変だったこととしては、「誰に何をいつまでにやってもらう必要があるのかをいち早く察知し、それを抜け漏れなく伝えること」でした。
PMは自身以外のタスク状況を把握し、能力や立場を考慮した上で適切な人にタスクを振っていくことが重要です。私は今回のPMを担当するまでは、目の前の枝葉のタスクや自身のタスクをこなすことばかりによく目がいきがちだったので、物事の全体を見るPMの仕事に対応するのに苦労しました。
この苦労した経験を活かし、日々の業務のタスク管理を進めていこうと思います。

うまくいったこととしては、「オンライン開催でも、学生が楽しく開発してもらえた」点です。
私は開発期間中、学生がなるべく悩みなく開発作業を楽しんでもらうために、学生向けの連絡は早めに質問されたことへの対応はなるべく時間をあけず、回答することを心がけました
また、丁寧かつ間違いのない回答にするために回答前に関係各所にしっかり確認をするよう気をつけました。
その結果、Hack U 開催後の学生向けアンケートでは多くの学生から「イベントに満足できた」、「自身の成長を感じた」、「丁寧に期間中対応いただけた」という意見をいただけました。

PMとして自身の役割に従事した結果、学生の皆さんが自分の作りたいものを精一杯作ることができ、作る中で学びを得て、満足していただけたことがわかり、本当にPMをやってよかったなと思いました。
この成功体験を武器に、今後も学生や関係者とのコミュニケーションの仕事も積極的に対応していきます。

技術にとらわれず、視野が広がる

また、Hack Uの運営経験で得られたことは、技術だけにとらわれないという視野の広さです。
ある程度開発に慣れてくると、初学者がどの部分で悩んでいるのかわからなくなってしまうことがあります。
ものづくりにおける初学者の「どこで悩んでいるのか」を生で見ることで、改めて悩んでいる部分を自分自身も再確認し、気づかせてくれることが学びになっています。
普段の仕事では後輩はいませんが、今後指導することにもなると思うので、その時にとても役に立つと考えています。

もちろん、学生の技術レベルやアイデアレベルが高く、専門的な技術を用いて社会人の発想の枠を超えた作品を間近で見ることで、エンジニアとしても刺激を受けています。
ハッカソンでは新しい技術を利用することがおおく、Firebase、Skyway(リモート通話)、機械学習、IoT系技術 など、自分の知らない新しい技術を使った作品を見ることで技術トレンドを捉えることができる点もとても新鮮です。新しい技術に触れることで、サービスの改善や新機能の開発の時に選択肢が広がるのでとてもありがたいです。

いろいろな人に評価してもらえる、社会でも活きる経験を学生のうちに

“No challenge, No life.”
これは私が大事にしている信条なのですが、学生の皆さんにはどんな小さいことでもいいので、たくさん挑戦してほしいと思っています。
社会人になってからでも遅くはありませんが、学生の時と比べて挑戦できる内容が絞られてしまうこともあると思います。

特に工学系の方はゼロからものづくりをして、いろいろな人に見てもらう、評価してもらう、というのは今後の社会人人生でとても活きる経験になります。自分の作ったものを いろいろな人に見てもらう、評価してもらうという視点で、ものづくりをしてほしいですね。まずは自分が面白いと思ったものを楽しんでものづくりをしてほしいです。
そして、ハッカソンほどいろいろな人に見てもらう、評価してもらうのに最適な場はないと思っているので、ぜひHack Uへ参加してみてください!

ものづくりの楽しさを知ってもらえる機会を提供したい

小川

Hack U 九州大学 プロジェクトマネージャー 小川さん

どんな人? 普段、何やっている人?

  • 2018年に中途入社
  • 新卒ではIT系の会社で開発・運用の業務を経験
  • 現在は社内向けプラットフォームの開発・運用
  • スクラムの体制で開発しているので、スクラムマスターとしても活躍中
  • Hack Uの活動の他にも社会人エンジニア向けの技術イベント、ヤフー福岡 Tech Meetupの開催にも関わっている

ものづくりの楽しさを一人でも多くの学生に

私はヤフーに入社する以前から、ヤフーがHack Kidsという子供向けのプログラミング教育の活動など、対外的な活動を行っているイメージを持っており、これらの活動に興味を持っていました。
ものづくりが好きなので、ものづくりの楽しさを知ってもらえるような機会を提供したい、また、学生のときにHack Uのようなイベントに参加していたら、絶対楽しかっただろうな、という感覚があったので、それを一人でも多くの学生さんに届けたい、という思いでHack Uのようなイベントの運営に携わっています。

オンライン開催での情報共有の難しさを体感

私は2020年の夏頃に開催されたHack U九州大学 2020のPMとして、説明会、イベント、発表会などの運営計画やタスク管理、サポートメンバーへの指示、及び、参加された学生の方への諸連絡や、イベント当日における監督役などに携わりました。
当初オフラインの開催で計画を進めていましたが、新型コロナウイルスの流行により、オンラインでの開催となり、大幅な計画変更を余儀なくされました。

オンラインで開催することがHack Uチームとして初めてだったため、どんなツールを使うか、どんな進行にするか、手探りの状況でしたが、私が所属していた開発者のコミュニティーにおけるオンラインツールに関する知見を参考にしたことから、いち早くこの状況に対応できたのではないかと考えています。
結果として、発表会まで全てをオンラインで実施することができましたが、その中でも特に参加者への情報の伝え方については苦労しましたし、学びが多くありました。

例えばこちらから大切な情報を共有したい時、対面で直接伝えるのと、Slackで全体に周知するのとでは、受け取られ方が大きく変わります。参加者が情報を受け取ったあと迷ってしまわないように、必要な情報を必要なタイミングで発信することの難しさを今回改めて実感しました。
この経験は、日頃の業務でユーザーにアナウンスを行うような場面にも活かしていきます。
難しさはありましたが、自分たちだけではなく、社外の方を巻き込んで何かを企画するという普段の業務からは得られない貴重な経験ができたと思っています。

俯瞰してみることで、自身の振り返りができた

学生の生の声(開発、発表、質問)に触れることで、自分の視野が広くなった感覚がありました。
学生のトレンド、興味を間近で見て知れることもあります。同時に1カ月に満たない短期間の開発期間で成長する学生を見ることで、自分自身にも刺激があります。

また、学生の開発進捗を見ながら、よりよいチームビルディングを研究する観点でも学びがありました。
「進捗がよいチームは会話が多いな」とか「褒める文化が形成されているな」といったようなことに気付き、自分のチームに対する施策を考えることに繋がった経験もあります。

さらに、運営を通してプロジェクトマネジメントにおける進行管理について学びもあったと感じています。
普段の業務ではやらないような学生、社員、先生方との折衝や、スケジュール管理のタスクなど、プロジェクトの全体像を捉えながら管理をしていくことが自分自身の成長にもつながり、今後のサービス開発でも広い視野を持って進められそうです。

小さなチャレンジからで大丈夫。ものづくりの先も考えよう

学生の皆さんには気になったこと、好きなことにはチャレンジしてみてほしいです。スキルが足りないかもとか、向いてないかもなど新しいことをやるときに感じる不安を乗り越えましょう。
小さなチャレンジからで大丈夫、チャレンジした結果を他の人に見てもらって、改善し続けることを意識してほしいです。

また、ものづくりが楽しくなってきたら、ものづくりをした先になにがあるか、も考えてみてください。気をつけることとしては、ものづくりになれてくると、「ものづくりを目的としてしまう」ということがあります。
使ってもらう人、ものづくりによる課題解決が何なのかを考えることで、喜んでくれる人が増えるのではないかと思います!

最後に

いかがでしたか?
会社としてハッカソンを開催することで、社内外を問わず多くの方との接点を持つことができます。
また、今回ご紹介した社員は2人とも本業とは別の業務を行うことを通して、普段の業務だけでは得られない視野や経験を得て、それをまた本業に生かしていくという良いサイクルが回っているのを感じていただけたと思います。

私自身も、Hack Uの中でプロジェクトの統括や、イベントの企画に携わっております。プロジェクトに必要なタスクを細分化して、実施する理由やゴールを明確化しなければ、行動しやすいチームを作ることはできないという学びがあり、2人のお話に共感する点も多かったです。
皆さんもいつも参加している技術勉強会などで、登壇したり、運営のサポートをしたりするといつもと違った体験や発見があると思うので、ぜひチャレンジしてもらえたらと思います。

今回は普段の業務とは別に、Hack Uの業務を通して得られる成果の一例をご紹介させていただきました。
今年のOpen Hack U 2020は春(2021年2〜3月頃)にも開催予定です。
詳細の日程が決まり次第、Hack Uのconnpassアカウント、Twitterアカウントでご案内します。夏の開催には枠が埋まってしまい参加できなかったという学生の皆さんは、よろしければグループへの参加、またはフォローの上、ご案内までお待ちいただければと思います。

参考:Hack UのconnpassページHack UのTwitterアカウント

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山岡 滉治
ヤフオク!エンジニア 兼 CTO室 Developer Relations
ヤフオク!でフロントエンド/バックエンドの開発をしながら学生向けハッカソン「Hack U」の企画・運営をしています。

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