こんにちは。Yahoo! JAPAN研究所で研究員をしております柿原です。
前回に引き続き、「japan.internet.com」にて連載中の"進化する「LIFE ENGINE」 - Yahoo! JAPAN 2010年の新技術"の第6回に掲載されたYahoo! JAPAN研究所の紹介をしたいと思います。
Yahoo! JAPAN研究所の紹介はこれで最後になりますが、今回は私自身が研究所で取り組んでいる社会科学分野の研究について紹介させていただきました。ぜひご覧くださ
い。
※「japan.internet.com」のご厚意により、3月24日に掲載された第6回目の記事を以下に転載します。
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前回は、Yahoo! JAPAN 研究所が取り組んでいる自然言語処理と画像処理の研究活動について紹介しました。研究所シリーズ最終回の今回は、社会科学分野の研究活動についてご紹介したいと思います。
近年、インターネットは生活、産業のあらゆる場面で欠かせないインフラとして社会に浸透し、人々の生活や企業活動にさまざまな利便性と変化をもたらしてきました。Yahoo! JAPAN 研究所では、インターネットが人々の生活習慣や社会活動へ与える影響についても、大きな研究テーマの一つとして調査・研究に取り組んでいます。
Yahoo! JAPAN 研究所における社会科学研究の最大の特徴は、なんといっても Yahoo! JAPAN が保有する膨大な利用データやサービスインフラを活用している点です。
生活者の行動を分析対象にした社会科学研究には、すでに経済学、経営学、社会学、心理学などさまざまな学問領域で膨大な蓄積があります。しかしながら、実際に生活者の行動を詳しく分析するには、まずその行動を分析可能なデータに置き換える必要があり、残念なことにいままで研究者が扱うことができたデータは極めて限定的なものでした。
たとえば、社会科学分野の伝統的なデータ収集・分析手法である質問票を使ったアンケートは、限られたサンプル数の生活者が明示的に認識していることだけしか回答(データ)を得られないという限界がありました。
100をこえるサービスをお客さまに提供している Yahoo! JAPAN では、そのサービス運営を通じて、日々膨大な利用データが蓄積されていきます。それら蓄積データは生活者の Web 行動を分析する際、いままでの社会科学研究の限界を大きくこえた可能性を研究者に提供してくれるのです。
利用データの分析を通じて生まれた研究成果は、お客さまのサービス利用満足度アップのため、Yahoo! JAPAN のさまざまなサービスの利便性向上や新サービスの企画に活用できます。お客さまの満足度向上は Yahoo! JAPAN 研究所における社会科学分野研究の重要なミッションのひとつであると考えています。
これまでの Yahoo! JAPAN 研究所における社会科学分野の研究活動で実際に活用されてきた分析手法の一部は、多くの方々に広く利用していただけるようサービス化されています。たとえば、Yahoo! JAPAN のネット調査サービス「Yahoo!リサーチ」で提供している「Search Insight(サーチインサイト)」は、一般のお客さま向けに提供している調査サービスです。
「Search Insight」のサービスサイト
この調査サービスは、あらかじめ期間と「任意のワード」を設定しておき、その設定期間内に指定した「任意のワード」で検索した Yahoo!リサーチモニターに対して、追ってその検索意図をインターネットリサーチする、というものです。つまり、Yahoo! JAPAN ならではの「検索行動データ」と「ネットリサーチ」を組み合わせた調査サービスといえます。
Yahoo! JAPAN 研究所では、この調査サービスがサービスリリースされる前から調査分析手法として活用してきました。この調査分析手法により、生活者の Web 検索行動だけでなく、何によってその検索行動が引き起こされたのか、またその検索行動の後、どのような行動につながっていったのか、リアルな世界における検索前後の行動とひも付けて分析することが可能になります。
Yahoo! JAPAN は、こうしたユニークな調査手法を有料サービスとして広く提供し、多くの企業や広告代理店の皆さまにご好評をいただいております。
前々回、前回、そして今回と3回にわたり Yahoo! JAPAN 研究所の概要と研究活動をご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか?今後も Yahoo! JAPAN ならではの研究を推進すべく頑張ってまいります。ぜひご期待ください。
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