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テクノロジー

福岡に縁のあるエンジニアの話を聞いてみよう! 〜 ヤフー福岡 Tech Meetup #8 レポート

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みなさんこんにちは! ヤフーの天神オフィスに所属している、エンジニアの小川です。

2020年11月18(水)に、8回目のヤフー福岡 Tech Meetupを開催しました。
昨今の情勢に鑑みて、今回もオンライン開催という形を取りました。

福岡の開発拠点である天神オフィスには、トップページやインフラなど、さまざまな分野を担当しているエンジニアがいます。
本イベントは企画から開催まで、天神オフィスのメンバーが中心となって運営しています。
福岡で働くエンジニア・デザイナーの方々と、情報交換しつつ交流していきたいと考えており、本イベントを継続して開催しています。

今回のテーマは「福岡に縁のあるYahoo! JAPAN のエンジニア」。
福岡出身であったり、学生時代を福岡で過ごしたりなど、福岡に縁のあるエンジニアが4名集まり、それぞれのキャリアや仕事内容についてお話ししました。
各スピーカーのキャリアは、新卒から東京、福岡から東京へのIターン、福岡から東京、再び福岡へのUターンなど、多種多様。
福岡のエンジニア事情に興味がある方は、ぜひこちらのレポートを参考にしていただければと思います!

入社してからのキャリアとその中で行ったTDDxペアプロについて

まずは前田より、入社後のキャリアと、TDDxペアプロの体験談をお話ししました。

福岡出身で2018年に新卒入社し、2年間福岡で働いたのち、3年目の現在は東京でYahoo! JAPAN クリエイターズプログラムの開発・保守に携わっているとのこと。
働き始めた当初から、福岡と東京とのリモート開発をしており、それぞれのチームごとにコミュニケーションを工夫しながら文化を形成していったそうです。
たとえば現在働いているチームでは、メンバー同士一度も対面で顔を合わせたことがなかったので、朝会や雑談の時間を導入したというお話がありました。
また、開発面の工夫として、密にコミュニケーションを取りながら進めるために取り入れられたのが、TDDxペアプロという手法だそうです。

前田の発表

テスト、実装、リファクタのサイクルをペアで進めることで、実装の不安を解消しながら手戻りなく進めることができたのが、良い効果を発揮したようです。
チームによって合う働き方・合わない働き方があるので、環境に合わせて改善することが大切というメッセージを伝えていました。

筆者自身もTDDやペアプロを業務で取り入れたことがありますが、何事においても銀の弾丸のような万能な解決策というものはなく、その時々の環境や状態によって、より良い働き方を選択していくことが求められるなと改めて感じたセッションでした。

トップページの可用性向上の取り組み

次は、Yahoo! JAPANのトップページの可用性向上の取り組みについて、岡本よりお話ししました。

出身は山口県、その後学生時代を福岡で過ごし、東京勤務を経て、2019年からは福岡勤務という経歴の持ち主です。
Yahoo! JAPANのトップページは平常時もさまざまな情報を提供していますが、たとえば豪雨災害や地震発生などの緊急時は、人命を守るための重要な情報を確実に届けるため、特に高い可用性が求められます。
今回のセッションでは、可用性を高めるためのアプローチを2つの方面からご紹介しました。
1つ目は、アーキテクチャ上の戦略。
緊急時にはたくさんのユーザーが情報を求め、大量のトラフィックが発生しますが、システム設計段階からそれに備え、キャッシュの活用や冗長構成・負荷分散などを組み込まれているとのことです。

岡本の発表

どれだけ備えていても想定外のことは発生しますが、もしそうなっても確実に災害情報だけは届けられるよう、一時的にアプリケーションを停止し、簡易ページへ切り替える手段も準備されています。

そして2つ目は、エンジニアの活動。
サービス開発エンジニアとプラットフォーム開発エンジニアの間で可用性への考え方が違うと、水準が下がってしまうため、定義を設けて密にコミュニケーションを取っているそうです。また、大規模災害を想定した初動対応訓練を定期的に実施し、日々真摯に可用性向上の取り組みを続けています。

いつでもほしい情報が見られる、トップページの「当たり前」を守り続けるために、たくさんの人々がたくさんの取り組みをしているということを実感させられました。

パスワードレス普及への取り組み

次に大井からは、Yahoo! JAPAN IDのパスワードレス普及に向けた取り組みをお話ししました。

前の2人とは少し経歴が違い、2013年に新卒入社で上京するまでは福岡で生活していましたが、入社後はずっと東京勤務で、Yahoo! JAPAN IDの開発に携わっているそうです。
メディア事業とEC事業はヤフーの中でも大きな事業ですが、それらが保有している100以上のサービスの管理を一手に担うのが、Yahoo! JAPAN IDです。
ユーザーの安心・安全・便利を目指し、これまでログイン機能の改善を続けてきましたが、近年は特にパスワードレス化の取り組みに力を入れているとのこと。
IDの登録をする際、従来通りのパスワードではなく電話番号を設定していただくことでパスワードの無効化が可能になり、SMS認証のみでログインができる体験を実現しています。
しかし、SMS認証では確認コードが携帯電話に届くまでの待ち時間があり、確認コードの入力も必要。そこからさらにセキュリティとユーザビリティーを高めるには? と考えた結果、生体認証によるログインの提供も始まったそうです。
生体認証ログインはFIDO Alianceが標準化を進めています。ヤフーはそこに参画し、FIDO2認定を取得しており、サービス事業者として世界で初めてブラウザー上での生体認証を可能にしました。

大井の発表

既にいくつかのサービスには導入が進んでいるとのことで、今後もパスワードレス化されたログインの導入をさらに訴求されていくとのことでした。

パスワードのない新しい世界がすぐそこにあることに驚かされる、興味深いセッションでした。

あなたの知らない(かもしれない)データセンターの世界

最後は、めくるめくデータセンターの世界について、佐藤よりお話ししました。

大分出身で学生時代を福岡で過ごし、新卒入社した際に東京勤務になり、2019年に福岡勤務に変わってからも、ずっとインフラ系の業務に携わっているとのこと。大学ではロボットと画像処理の研究をされていたそうです。
ヤフーのデータセンターは日本国内に複数拠点とアメリカにもあり、サービスの特徴によって都市型・郊外型を選択して使用しています。
100以上のサービスを支えるIT機器が稼働しているということで、セキュリティは万全。大規模災害で電力供給がなくなっても一定時間は稼働し続けられるよう、UPS(無停電電源装置)やGTG(ガスタービン自家発電機)なども整備されています。
そんなデータセンターの運用コストですが、やはり多く割合を占めるのは電気代。PUEと呼ばれる電力使用効率を表す指標をもとに、特に空調・冷却にかかる消費電力を小さくすべく、さまざまな冷却方式が取られているようです。
また、大量のサーバをどのように効率よく構築・管理するかも工夫のしどころで、ヤフーではOSインストールを自動化するシステムを独自開発し、運用しているそうです。
セッションの最後には世界のいろいろなデータセンターをご紹介。

佐藤の発表

「これを紹介したくてこのコーナーを作りました!」という海中データセンターなど、ユニークかつアイデアに富んだデータセンターが並びました。

普段の業務ではなかなか知ることのできないデータセンターの仕組みや工夫についての話が、ギュッと詰まったセッションとなっていました。

質問タイム

すべてのセッション終了後、参加者のみなさまからの質問にスピーカーが答える時間を設けました。
大変多くの質問をいただき、ありがとうございました! 受け答えの様子を抜粋してお届けします。
※ それぞれの回答は個人の見解が含まれており、所属組織を代表するものではないことをご承知おきください。

質問タイムの様子

ペアプロで活用しているツールはありますか?
前田: あまりツールは使っていなかったですが、Zoomでコミュニケーションをしているので、画面共有やコメント機能を活用しました。
岡本: ソースコードのペアプロであれば、だったらVisual Studio Live Shareも有用ですね。
平田: オンラインホワイトボードツールのMiroも良さそうです。

災害対応を行うための人員も、分散がされているのでしょうか?
岡本: 災害対応のためにという訳ではないが、ある程度は人員が分散されて働いていますね。緊急時は、その場の状況を見てチームを編成し、対応するようなイメージです。人が多くなった分だけユーザに提供できる情報も増えるので、興味がある方はぜひ一緒に働きましょう!

パスワードレス化の取り組みは、今後世界的にも広がっていくのでしょうか?
大井: そう見ています。例えば最新のiOSのSafariには、お話ししたFIDOのWeb Authentificationが搭載されているようですし、LINEもiPad版のアプリで導入するという話も聞きました。これからも世界的にどんどん加速していく取り組みなのではと感じます。

データセンターにおける、機器の監視はどうしていますか?
佐藤: インバウンドとアウトバウンドの観点があって、インバウンドとしてはOSがちゃんと生きているかという監視になります。これは実際に運用しているサービス側が、ツールを利用して監視を行っているのが通例ですね。アウトバウンドとしてはハードウエアがどうなっているかという監視ですが、こちらはインフラ側のツールを使い、電力や温度を常時監視しています。

就職活動中なのですが、技術面に自信がありません。新卒に求めるスキルなどはありますか?
前田: ヤフーのミッションとして「UPDATE JAPAN」というものがありますが、課題を解決していこう! という思いを持っている人と一緒にお仕事がしたいですね。自分がものづくりが好きなので、同じようにものづくりが好きな人と働くのも楽しいなと感じます。

岡本: 私も佐藤と同じく学生時代はロボットを研究していて、入社当時はITに関する知識が少なかったのですが、それからずっと、今でも技術を学び続けています。入社時に知っている/知らないの差はあれど、技術はどんどんアップデートされていくので、とにかく学び続けるということが大事なのかなと思います。

佐藤: 何でも未経験から始まることはたくさんありますので、好奇心を持っていろいろ取り組む柔軟さと素直さが、自分は大切だと感じますね。最初からすごく高い技術力があって孤高の存在になっている人って、意外と伸びにくいのかなっていう印象があって。素直にどんどん取り込んでいく姿勢があると良いなと思います。

大井: 私も素直さは大事かなと思います。あと、一人でもくもく仕事をする時間は案外少ないので、コミュニケーション能力は求められるスキルかなと感じます。今知識がなくても、やれば伸びるので、素直さや協調性を持って臨んでみてください。

東京勤務 または Uターンのきっかけは何ですか?
大井: 就職活動の時にウェブ系の仕事をやってみたいなという思いがあって、ITだったら東京だろう! ということでトライしてみたら内定をいただき、というきっかけでしたね。

前田: 私は福岡出身ということもあったからなのか最初の配属が福岡だったのですが、いつか東京に出てみたいと思っていたので猛プッシュし、東京勤務ということになりました。

岡本: 自分の入社当時は福岡の拠点がまだなかったので、最初は東京勤務でした。インターネットの会社で働きたいなという思いがあり、縁あって入社しました。福岡に戻ってきたきっかけは実家の事情でしたが、メディアのサービスにもう一度携わりたいという気持ちと、福岡で災害対応がやれると良いなという思いで応募しました。

佐藤: 実は就職活動の時には東京と九州を半々くらいで受けていたのですが、面白そうだったので東京へ行きました。東京での業務内容も面白かったのですが、住むなら九州かなというのはずっと思っていて。災害対応のために西に人員が欲しいという話があったので、手をあげて戻ってきました。

おわりに

いかがでしたか?
福岡に縁のあるエンジニアがどんなキャリアを歩んできたのか、今どんな仕事をしているのか、垣間見えたでしょうか。

ご参加いただいたみなさま、ご登壇いただいたみなさま、ありがとうございました!
今後も福岡を盛り上げるべく、交流の機会を作っていきたいと思います。
次回もconnpassでご案内する予定ですので、参加したい! という方は以下のconnpassページの「メンバーになる」ボタンを押してお待ちください。

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ご感想ありがとうございました


小川 彩織
エンジニア
ヤフーの社内プラットフォーム開発・運用をしています。スクラムやDeveloperRelationsのお仕事もしています。

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