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テクノロジー

人物情報検索のトレンドご紹介 part2

こんにちは、ライフスタイル事業部の建山です。

前回はYahoo! JAPANが先日リリースした、「Yahoo!人物名鑑」を簡単にご紹介しましたが、今回は、人物情報サービスという分野で、ほかにどのようなサイトが存在するのかをご紹介しつつ、ウェブにおける人名の役割考えてみたいと思います。

■人物情報サービスのトレンド
SNSの登場以来、にわかに「人物関連情報」の注目度が上がってきているわけですが、たとえばTechCrunchの記事を「人物検索」で検索してみると、多種多様な人物検索サービスが出現している事がわかります。

ここでは、人物情報サービスの分野で今、どのような試みがなされているのかを概観してみます。

  1. DB内検索(例:人物情報横断検索:@niftyデータベースサービス)
    専門家が編集したデータベース内から検索する方法。情報の精度は高く保たれますが、データ収集とメンテナンスに多大なコストがかかるので、通常、有料でサービス提供される事が多いですね。ちなみに2004年からYahoo! JAPANが提供してきたYahoo!タレント名鑑(「Yahoo!人物名鑑」の前身)はこの形式での無料サービスを実現したものでした。
  2. CGM型(例:Wikipedia)
    ご存じWikipediaが代表例。Yahoo!人物名鑑でも、フレッシュアイペディア経由で、日本語版Wikipediaのサマリー情報を取り込んでいます。また、この考え方を一歩進めたコネクスというサービスは、人と作品とそれぞれ同士の関連性を、ユーザー自身が登録していく形式。もちろん、ユーザーが作る集合知サイトなので情報の正確性が担保できない点と、テキスト中心の情報なので物足りないユーザー層も居るだろう事などという問題はありつつ、重要な情報ソースですね。
  3. SNS横断検索(例:Wink)
    FacebookやLinkedIn、MySpaceといった異なるSNSに登録されている人物情報を横断検索できるようにしようという試み。アメリカでは、piplやSpockなど複数のスタートアップが始まっており、すでに数億のインデックス数と日次数千万というアクセス数を誇っています。これは実名でSNSを利用する事が多い海外ならではの事例ですが、主要SNSをご利用の方は、ぜひ自分の名前でpiplを検索してみてください。少々怖い気がするかもしれませんが。

  4. マイニング型(例:スパイシー)
    近年、技術革新が目覚しいセマンティックウェブ技術、テキストマイニング技術を利用したサービス。芸能証券やKizasiなどがコレに当たります。「Yahoo!人物名鑑」でも、同様の技術を利用して人対人の関係性を抽出し、「関係ありそうな人物名」モジュールを提供しています。また、スパイシーでは、人名による検索クエリがある一定の数を超えたら、たとえ一般人でもページが生成されていくという面白いサービス。これに対しYahoo!人物名鑑では、ニュースや検索クエリなどで新たに注目を浴びた非一般人をトラックして、新規にページを立てていく形を取っています。
  5. 検索マッシュアップ型(例:Yahoo! IndiaのSearch Glue Page)
    Yahoo! IndiaのSearch Glue Pageで人名検索をした場合や、同じくYahoo! Inc.が買収したFoxytunesによる音楽アーティスト情報のマッシュアップは、検索サービスの新しいサービス形態を予見させるもの。人名に限らずクエリー文字列のファセットによって、検索結果のモジュールが入れ替わる先進的なUIが実現されています。

    Yahoo! IndiaのSearch Glue Pageで「Brad Pitt」を検索した結果

「Yahoo!人物名鑑」は、検索マッシュアップ型を基本形としつつ、ほかのサービス形態の利点を取り込む形で成長していく予定です。

■情報検索の鍵:物(What)、人(Who)、場所(Where)…
「You’re Nobody Unless Your Name Googles Well」(Wall Street Journal - 2007/5/10)でも述べられている通り、今では著名人=ウェブに情報が載ってて当たり前、というのが一般ユーザーの認識となりました。

今回ご紹介してきた人物情報サービスがターゲットとする市場は、国ごとの違いはあるものの、ウェブ検索クエリ内の1〜3割を占めるとも言われれる「人名関連のクエリ」が繋ぐ情報導線です。

人名は多くの場合、さまざまなエンターテインメント、ニュース系コンテンツのメタデータの第一階層に位置しており、異なるサービスをひも付ける役割を担える存在です。また、FacebookのSocial Adsのコンセプトである、「友だちや有名人のお気に入り/オススメ」による情報のフィルタリング/レコメンデーションが、高いCTRを生み出すという事実などから、情報の選別手段の一要素として、ソーシャル(人と人の関係性)データを利用しようという動きも広がっています。

このように人物情報は、未開の新天地とまでは言わないまでも、多くの研究者がテーマに掲げ、同じく多くの検索ポータルやSNSが、虎視眈々と品定めをしている分野でもあることは、ほぼ間違いないでしょう。

さて次回は、Yahoo!研究所の研究者より、技術的な側面についてご紹介頂きます。お楽しみに。

(2009/4/8追記)>>第3回へ

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