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テクノロジー

技術コメンテーターがクリエイターと一緒に楽しむために考えていること

こんにちは。Hack Dayで技術コメンテーターをしていた、フロントエンドエンジニアの加藤と申します。

2017年の1月中旬に当時のHack Dayのマネジャーから「来月のHack Dayでコメンテーターしてみない?」と突然の指名を受けてから2年弱立ち、その間3回のHack Dayがありました。

個人的には未だ技術コメンテーターをするたびに「こうすればよかった...」など、課題に感じることは多いのですが、そういった点やこのあたりは気をつけているといった点を社内にあるナレッジ共有サービスに投稿してみたところ、比較的好評だったため、今回社外向けにアレンジして紹介します。

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Photo by 中村友一(公式カメラ隊)

about Hack Day

Hack Dayはヤフーが主催するハッカソンイベントです。もともとは社内に閉じたイベントでしたが、2013年からは社外にも開放し、2017年からは展示・体験コーナーなども設営され、クリエイターフェスとして開催されています。昨年も12月15日-16日にかけ、秋葉原UDXにて開催されました。

Hack Dayのハッカソンには、主な特徴が2つあります。
まず、開始から24時間後に発表会が行われます。開発はもちろん、発表会で利用するプレゼンテーションなども全て24時間内に準備を行います。2つ目に、各チーム90秒で作品を発表します。24時間で作成したものの思いの丈を90秒の発表に詰め込みます。

実際の雰囲気は見ていただいたほうが伝わると思いますので、まだイベントに来場されたことがない方は、以下の動画をぜひご覧いただければと思います。

  • ハッカソンプレゼンテーション(全編) - Yahoo! JAPAN Hack Day 2018
  • イベントダイジェスト(30秒) - Yahoo! JAPAN Hack Day 2018

技術コメンテーターのお仕事

90秒で行う発表と発表の間にはインターバルが最大60秒あります。この間で発表チームの入れ替えを行います。この時間は、入れ替えの準備や舞台上のセッティングを行っているだけの時間のため、見てくださっているお客さんにとっては基本的に待っているだけの時間となってしまいます。設営の状態を見るのもまた楽しいかもしれませんが、60秒続いた場合、おそらく放送事故のような状態になってしまいます。

そこで、技術コメンテーターは、プロの司会の方と共にそのインターバルをつなぎます。60秒の間には、絶対に行う必要のある次のチームの紹介(チーム名・作品名・発表開始振りなど)がありますが、この部分は司会の方にお願いしています。

自分が技術コメンテーターとしてやることは

  • 前チームの発表された作品についての技術的な補足
  • 作品がうまく動作しなかったり、抽象的なものや前提が必要なもののフォローアップや、視聴者向けに作品の具体的なイメージを噛み砕いて伝えていくこと

を中心に、司会の方とともに60秒の間をつなぎながら、サポートをすることがメインの仕事だと思って参加しています。

気をつけていること

実際に技術コメンテーターとして気をつけている点をご紹介します。

以下のようなことをぐるぐる考えながらコメントしていますが、いざ実際に言葉にするとうまく表現できていない部分がある気がします。言葉足らずな部分や、語弊生まれやすい表現があったらすみません。自分が主に気をつけている点は、ざっくり4つです。

  • 端的に伝える
  • 「技術」と「作品」をわかりやすく伝える
  • ネガティブな表現はしない
  • 他の作品と比較しない

これらの点を気をつけつつ、60秒の間で司会の方と掛け合いをしながらコメントをしています。以下、さらに詳細に記載します。

端的に伝える

比較的熱弁をすると話が長くなるタイプということもあり、端的に伝えるのは一番意識していました。

Hack Dayの発表者入れ替え時には

  • 30秒は確実にインターバルとして用意されている
  • 最大60秒
  • 30秒以降は次チームの準備完了次第、発表開始にうつる

といった点が基本的なルールがあります。(※Hack Day 10thの際のルールでした) 最大でも60秒しかないため、自分が長いコメントをしてしまうとあっという間に60秒になってしまい、発表者に迷惑がかかってしまいます。しかし、「すごいですねー」とか「こういった作品、ほしいですね!」などの短いコメントだけでは視聴者に何も伝わらなかったり、30秒も、端的に伝えることを意識した上で間をつなぐ必要があります。

30秒は確実につなぐ必要があるというのが、個人的には意外とネックでした。例えば「すごいですねー」とか「こういった作品、ほしいですね!」などや「TensorFlowを使ってxxをyyしたプロダクトでしたね」などのコメントだけだと実際には5秒もかかっておらず、もう少し工夫がいります。

自分の場合、"司会台に立っているその場で瞬発的にいい感じに30秒はしゃべる"などの特殊スキルをもっているわけでもなく、だいたいこれぐらいしゃべれば30秒だよな...と計算しながら発言できるタイプでもないので、発表時に限らず、開発会場などでも拾えるものは何でも拾いながら、最低限30秒はしゃべれるネタを探したりしていました。実際にどんな内容かは、以降の他の点で記載します。

逆に、今考えると「60秒繋がなきゃ...」というプレッシャーを感じるよりも、「30秒繋げばまああとは自分なりにしゃべってもなんとかなるだろう」と(今考えると謎なポジティブシンキングで)多少気が楽だったという点もあります。

3回目となる今回(Hack Day 2018)はいくつかアップデートがありました。大きな変更点としては、インターバルが60秒間で固定となり、ハッカソン応援隊長として琴吹ゆめさん(VTuber)が参加され、コメントをする人が3人に増えたりしました。
コメントをする人が3人に増えたことにより、どのように話を振ればいいのか、どんな話ならしても大丈夫か、そもそも3人で話していて60秒で収まるんだろうか...など、より端的に伝えることが重要だと感じました。

「技術」と「作品」をわかりやすく伝える

作品の発表自体もチームによってさまざまな形式で発表されます。使っている技術にフォーカスした発表/作品のデモを重視した発表/舞台上で演劇を行う発表/(デモや想定シーンなどの)動画などを流すタイプの発表など、特色のあるものが多く、見ていてとても楽しいです。

しかし、自分も出場時に経験がありますが、90秒という制限時間で全てを伝えようとすると、あちらを立てればこちらが立たず...な状態になってしまったり、どこかにフォーカスして伝えるために泣く泣くどこかを削ったりすることがあります。

また、調査したわけではないですが、会場/ストリーミング放送の視聴者は参加者と比べて非エンジニアの方が多いと思っています。そのため、普段エンジニア同士やプロジェクト内でなにげなく話している言葉などを発表で使うことがあると思いますが、自分は伝わっていると思っていても実はうまく伝わっていない可能性があります。

そういったクリエイターの思いや、視聴者側の発表を見た際の「どんな作品なのかのイメージがつきにくい / すごそうなんだけどXXってなに...?」などの差分をいい感じにコメントで補足してあげるのも1つの役割だと思います。

技術コメンテーターとして前に出ているため、この項目については絶対にやらないといけないことなのですが、どんな表現で/どこまでを伝えようかという点は「この表現で伝わっていたのだろうか...?」など、あとから思い返していることが多い点です。思い返している点が多いのもたしかなのですが、逆に自分のコメントが意外なところでツボに入ってる事あり、いろんな方からコメントをいただくことがあります。

一例として、「このチームはOSSについても配慮してるんですよ」というようなコメントをしところ、あとからCTOに「まさかHack DayのコメントでOSSについてフォローが入ると思わなくて笑った」と声をかけられたり、「新卒4年目ぐらいだよね? 一体ベテランのおっさんかよというようなコメントがあってびっくりした」ってコメントをもらったこともあり、エンジニアの自分として「そこのコメントが刺さるのか...!」と驚いたことをよく覚えています。

他にも、ビールサーバーとサーバーをかけ合わせたチームのプロダクトに突っ込んだり、機械学習系のプロダクトでデータ集めるのが大半なプロダクトがあったりしたときに、このチームは10時間ぐらいデータ集めてたとか、木魚のプロダクト作ってるところとかは発表者はお坊さんらしいですよなど、ハッカソンの開発中の裏側のネタとかが入っていると
結構食いつかれて面白かったです。

ネガティブな表現はしない

コレも大事だと思っていて、発表者側からすると酷評されるのはつらいので、しないことにしています。Hack Dayはお祭りだと思っています。ビジコンとかStartup weekendとかだったらまた別かもしれませんが、特定の軸に対して評価や表彰はあるものの、disる必要はないのです。自分が発表者ならハッカソンに出て作品に否定的な意見を言われるのは嫌なので、嫌なことはしないというだけです。

他の作品との比較をしない

絶対にやらなかったわけではないですが、コメントをする上で極力しないようにしていました

ネガティブな表現をしないに近いかもしれませんが、Hack Dayではチームごとにさまざまな楽しみ方があり、楽しんでプロダクトを作っていると思っています。そのため、他の作品と比較をするのは野暮だと思います。

特に絶対やらないほうがいいと思っているのが、「他のハッカソン(や過去のHack Day)で見た」のような表現です。自分にとってはいくつかのハッカソンに出場した際などに見たことがある作品かもしれませんが、参加者/視聴者目線で考えた場合に、他の人が持っていない前提をベースに話すのはあまり良いとは思えないためです。今見ている作品とは何の関連もない言われても困惑してしまいます。また、たとえそれをやるとしても、過去他でみた作品について紹介した上で今見たプロダクトについてコメントするというのは、60秒の間では無理だと思っているというのもあります。

絶対にやらなかったわけではない理由としては、Hack Dayの中でいくつか似たような作品が生まれることがあるからです。これは、解決したい課題が同じようなものであることやいまホットな話題について作っていると起こりやすいと思います。
前回では、「おかんに急に部屋にはいられても大丈夫なようにする!」といったプロダクトがいくつかあったと思います。そのような場合は比較はしないようにはしつつも(前回だと被ったとプレゼン自体で触れられていたりしたので)触れる場合はあります。
比較した系でコメントしないといけないときは、ネガティブな方向で比較しないに尽きると思います。

特に自分は、比較的短所が先に目につくタイプなので、この観点は結構気を使ってました。

終わりに

本記事では、技術コメンテーターとして、どのようなことを考えているのかを紹介させていただきました。

自分がコメンテーターをする上でのベースとなっているのは、新卒の頃から見続けてきた社内向けのHack Dayがあります。社内向けのHack Dayでは、社内チャット(MYM)で社内のクリエイターがワイワイコメントをしながらHack Dayを楽しんでおり、この状態をできるだけ社外にも届けたいと思っていたところもあります。拙い技術コメンテーターではありましたが、雰囲気の片鱗が伝わっていたら幸甚です。

今回で僕は壇上から降り、1クリエイターとしてHack Dayに参加したり、楽しもうと思っています。これからのHack Dayも「#つくるってたのしいね」をベースによりテクノロジーを楽しめるイベントになっていくと思いますので、ぜひご来場いただければと思います。

それではまた次回のHack Dayで。

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