こんにちは。Bonfire Design運営の平井です。
12月11日(月)に、弊社のLODGEでBonfire Design #2を開催しました!
今回のテーマ
2回目となる今回は「デザイナーの成長戦略について」、ヤフーからデザイナーの細見、関が登壇し、ゲストスピーカーとしてデザインアンドライフ株式会社の池田さん、「クラシル」リードデザイナーの三笠さん、「フリル」のデザイナーでありCo-Founderのtakejuneさんら3名の方にもお話していただきました。
前回に引き続き、今回も「グラフィックレコーディング」で壇者の内容をリアルタイムで可視化していきます。
グラフィックレコーディングを担当するのは新卒1年目のデザイナー、坂下です!
1. アプリ開発におけるデザイナーの成長について
細見 沙央梨 ヤフー株式会社 デザイナー
一人目の登壇者は「Yahoo! JAPANアプリ」など、アプリのUI、UX設計を中心に担当しているデザイナーの細見。
スマホ市場の成熟により「サービスの差別化」としてデザインやデザイナーの役割も拡大し、広義になっていることに着目し、「得意スキルを軸にどう成長のブランチを広げるか」と「スキルにどう深みを付けていくか」の2点が変化する世の中でも成長し続けるデザイナーであるポイントではないかと考察していました。
また、成長のためのアプローチとして、「違う環境でアウトプットしてみること」と「可視化のちからで制作の現場で起きるあらゆるギャップを解決すること」をあげていました。
自身もプライベートでアプリ開発をしており、違う環境でのアウトプットを実践しているとのこと。
また実業務ではユーザーストーリーの可視化やプロトタイプ作成などをすることで、PJメンバー内の共通言語化に努めており、「スキルを磨くためのチャンスは業務の隙間に落ちている」と表現していたのが印象的でした。
また、ヤフー社内でも個人のスキルを磨く機会は多くあることに着目し、社内で介されるロゴコンペや盛んなLT会文化についても話していました。
2.「深める仕事と広げる仕事」
池田 拓司 デザインアンドライフ株式会社 代表取締役
二人目の登壇者は今年の4月にデザインアンドライフ株式会社を設立された池田さん。
前職のニフティ株式会社や株式会社はてなに在籍していた時は「新しいネットコミュニケーションを生み出したい」という思いから、インターネットコミュニティの業務にデザイナーとして従事されたとのこと。
その後、ユーザーの属性を転換するためにクックパッド株式会社に転職。
その度に「深められる仕事を見つけたら広げてみる」ことを意識されていたそうです。
深める仕事はジャンルにかぎらず、自身のデザイナーとしての課題についても常に意識されていたとのことで、「ちゃんとまわりに説明できるデザイナーになりたいと」思い、ブログを書き始めたり、LT会で積極的に登壇するなどの積み重ねで本の執筆などにも繋がったという話は印象的でした。
クックパッド株式会社では、デザインで会社を引っ張る立場になられ、自分で選んだ仕事ではないけれど深めてみようと思ったと話されていました。
最後に、深める仕事と広げる仕事の比率として「広げる仕事が深める仕事を追い越さないようにしている」と表現しており、仕事を広げるのは深める仕事の半分くらいという意識を大切にしていると説明されていました。
3.「プロダクトと一緒に成長していく話」
三笠 斉輝 dely株式会社 リードデザイナー
3人目の登壇者は料理動画サービス「クラシル」を提供しているdely株式会社のリードデザイナー三笠さん。
大学在学中からdely株式会社でデザイナーとして働き始めた三笠さんは、新卒入社のタイミングでスタートアップという海賊船に乗るか、大企業の安定した船に乗るか悩んだ結果、前者を選択。
入社直後は自身が会社にとって一人目のデザイナーだったため、デザインのバックグラウンドもない三笠さんにとって先輩デザイナーがいない環境は不安も多かったそうです。
クラシルというプロダクトが世に出るまではあっという間の半年間だったと当時を振り返られていました。
プロダクトが成長期に入り、自身のデザイナースキルが追いついていないことに焦りを感じ、プロダクトの成長に合わせて自身のデザイナーとしての役割も広げていったとのこと。グロースのためにユーザーの理解や数字に基づいたデザインを意識され、分析や施策立案から携わる機会も多くなったそうです。
プロダクトの拡大に合わせメンバーも増えていき、現在4名のデザイナーを束ねるリードデザイナーの立場に。
プロダクトのことだけでなく、「メンバーがデザイナーとして価値を出せるようにするのはどうしたらいいのか」などマネジメントについて考えることも多くなったそうです。
「デザイナーという職種にこだわるよりもプロダクトを成長させたいという思いが強い」というプロダクトに寄り添った考えをお持ちでした。
4.「デザイナー目線のスタートアップ起業」
takejune 株式会社Fablic プロダクトマネージャー/デザイナー/Co-Founder
4人目の登壇者は日本初のフリマアプリ「フリル」をリリースしたFablicの共同出資者であり、デザイナーのtakejuneさん。
「デザイナーとしてスタートアップを共同創業するというキャリア選択」という切り口で、スタートアップの魅力について話されていました。
最高のプロダクトや最高の組織を追求できる楽しさと、自分達が作ったものが世の中に影響を与えられるというやりがいはもちろん、一番心配なリターンに関しても、クラウドファンディングなどで起業のハードルが低くなっているので、失敗したとしても経験になり、デメリットは少ないとの考えをお持ちでした。
同期3人と週末にサービス開発を続けていたtakejuneさんは、自身のアイディアが開発仲間のビズデブやエンジニアによって形になっていくことが楽しかったと当時を振り返られてました。
また、フリルが生まれたのは開発仲間のビズデブが「これからはC2Cがくる!」という先見の明によるものとのことで、スタートアップを始める上で、自身がサービスづくりを楽しみ続けられることと、チームメンバーの関係性、事業の適切さという3つの条件が整っていることが重要と説明されていました。
フリルが事業として成長期に入っていく中でtakejuneさんの役割も変わっていったそうで、立ち上げ期に行っていたLP制作やロゴ、バナーなどのデザイン作業も、サービスの成長期に入るとUXリサーチや分析が多くなっていったそうです。サービスの成熟期に入った今はプロダクトロードマップや組織設計などデザインにとらわれず多岐に渡り担当されており、「サービスの成功という目的のために自分の役割を変えることが不可欠」と話されていました。
最後に「スタートアップに創業のタイミング以外で参加することは微妙か?」という問に対し、成熟期に入ったサービスでも、UIデザインやUXリサーチなどのタスクはなくならないのでデザイナーのやることは変わらずあると説明し、最後までスタートアップで働くことの楽しさについて伝えられていたのが印象的なLTでした。
5.「数々の失敗から得られた教訓」
関 豪志 ヤフー株式会社 デザイナー
最後の登壇者はYahoo!乗換案内アプリのデザイナー、関です。
デザイナー歴15年の関は「失敗から得られた教訓」について、スキル、ビジョン、マインドの3つに分けて考察していました。
スキルでは「自身の市場価値を知ること」について、会社員時代はデザイナーとしての地位が確立されていたが、フリーランス時代はそういった付加価値が通用せず、自身で作成した集客用のウェブサイトのデザインを気に入っていただいたお客様だけが仕事を依頼してきてくれたという経験をお話しされていました。
ビジョンについては「デザインで何がしたいのか」という意識のもと、なぜデザインが必要なのかを見極めてから業務をされるようになり、働き方が変わったそうです。
具体例として、自身が担当する乗換案内のサービスでは「世界一複雑な日本の公共交通を、世界一シンプルに案内したい。」という目的のもと、その手段としてデザインでどんなことが出来るのかをいつも考えられているそうです。
「通勤タイマー」というサービスも「どれくらいの間隔で電車が来ているのかを直感的に把握できるデザイン」になっており、シンプルな案内というコンセプトが徹底されていることが伝わってきます。
最後にマインドの話として「デザイナーはサービス業である」という考えから、お客様を下から支えるのがデザイナーであると表現されていました。
ユーザーの意見はアプリストアのレビューでも必ず確認し、その意識はプロモーションにまで伝達して、乗換案内アプリの電車内広告にストアレビューの内容を載せるという規格を実施したところ話題になったそうです。
デザイナーの成長戦略について、「まずはスキルを磨き、そのスキルでどのように社会と関わりたいかを考え、お客様への感謝の気持ちを忘れないこと」が大切であるとまとめられていました。
まとめ
事業会社のデザイナーからスタートアップのデザイナー、そしてフリーランスまで、今回の登壇者はそれぞれバックグランドが違えど、「デザイナーの成長戦略」という点においては考えが共通している部分が多い印象でした。
「サービスやプロダクトの領域、ビジネスの変遷や時代の変化に合わせて、デザイナーとしての自身の役割も変わっていくことが重要である」ことや、「デザインは手段であり、デザインでどのように社会に関われるのかを見極める」などの視点は、自身の「やりたいこと」だけやるのではなく、「デザイナーとして自分がどのような価値を発揮することができるのか」と、「その価値によってサービスやプロダクトは成長するのか」を考えて行動していくことが成長戦略の第一歩なのかな考えました。
photo credit : 樋山 理紗
こちらの記事のご感想を聞かせください。
- 学びがある
- わかりやすい
- 新しい視点
ご感想ありがとうございました