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テクノロジー

myThingsエバンジェリスト活動を通じて学んだこと

こんにちは。ヤフーで技術ブランディングを担当している水田千惠(@crispytaffy)です。

この3年近く、myThingsアプリおよびmyThings Developersのエバンジェリストとして活動してきました。ハンズオンやハッカソンなどではプロダクトに触っていただき、多くのフィードバックをありがとうございます。

現在はCTO管掌部門に移籍、ヤフーのテクノロジー全般の情報発信と、世の中のさまざまな技術や業界動向の調査が主な役割になりました。IoT領域以外についても視野を広げ、テクノロジーを使って社会に対してどんなサービスを提供していくことができるのか、これまで以上に想像しながら新しい役割での活動を行っています。

本稿では、これまでのmyThingsエバンジェリスト活動を振り返りつつ、そこからの学びについて簡単ですがまとめます。

主な活動内容

私がエバンジェリスト活動を始めたのは、IoTというヤフーにとって新規事業分野でプロダクトを立ち上げる時期でした。そのためmyThingsというサービス名称の認知度アップが最優先であり、myThingsファンを増やすこと(=Facebookグループのメンバー数の獲得)を評価指標におき、他のエバンジェリストやプロジェクトメンバーと手探りで施策をスタートしました。

  • myThingsファンを増やすために
    • ハンズオンやアイデアソンの実施
    • ハッカソン、開発コンテストへの技術協賛
    • イベント登壇
    • Maker Faireへのプロトタイプ展示
    • Qiitaアドベントカレンダーに参加
  • 目的業界動向の把握と理解するために
    • 社外技術を用いたプロトタイピング
    • 社外の技術者コミュニティーとの交流

評価指標においたFacebookグループとは、「自作デバイスをmyThingsにつなごう」を指します。

活動の振り返り

それぞれの施策はどうだったのか。

ハッカソンや大規模なイベントでの登壇、オライリー主催のMaker Faire Tokyoでのブース出展を通じて数多くの開発者にもリーチでき、ヤフーがIoT領域でプラットフォーム提供を開始したことの認知度は高まりました。一方、実際にプロダクトを触って理解してもらうためには少人数へのリーチでしたが、ハンズオンは効果的でした。メンター1名がサポートできる数はmyThingsアプリで10名、myThings Developersで5名ほどでしたが、Facebookグループに参加して継続利用したいといっていただけるファンを獲得することができました。まさに草の根的な活動ですね。

ハンズオンと開発コンテスト協賛の合わせ技としては、2016年度はリクルート社が主催するマッシュアップアワードへのヤフーとしてはmyThingsサービス単独での協賛を行いました。myThings Developersだけでも20近い作品が誕生したのは嬉しかったです。その中からアンバサダー的にmyThingsを使ったイベントを立ててくださる開発者の方がでてきたのもこの頃です。


Hacklog APIライブラリより)

また、myThingsを通じてIoTサービスの可能性について考えるためのアイデアソンも数々実施してきました。企業様とのクローズドでの実施もあります。ここではIoTサービスについての理解は深まりますが、実際にプロダクトを触って具体的な事例に落とし込むまでには時間がかかります。評価指標をビジネスパートナー獲得につなげ、少し長い時間軸でのコミュニケーションをとりながら関係値を構築していくことも大事です。

またオンライン施策もいくつか行っています。Facebookグループは前述したものを通じて、機能追加や事例の紹介をしてきました。それ以外にも利用者同士のコミュニティーのひとつとして、Qiitaを活用していました。毎年12月に行われるアドベントカレンダーにも2015年と2016年に参加。マッシュアップアワードやハッカソンで作品を開発してくれた方にもご協力いただき、myThingsの活用事例としてストックしています。

エバンジェリスト活動に必要なこととは

以下、私自身がエバンジェリスト活動で心がけていることや重要だと考えることを3つまとめてみます。

1. テクノロジー周辺はもちろん、さらにその周辺にも興味関心を広げていくこと

例えばスマートロックや落し物タグ。機能やアプリケーション、どうやって通信するのか、セキュリティーはどうなっているかというのに加え、ハードウエアそのものについても知ることは大切です。素材の選び方、なぜその場所にボタンがついているのかなど、必ず選択肢があり、それに決めた理由があるからです。その背景では空間設計やジェスチャなどのUXがたくさん議論されています。

このように、異なる業界や業種のデザインや開発の際の意思決定ポイントを知ることで、チームや会社にフィードバックできることが増えます。

2. 社外の技術者コミュニティーとの技術交流を楽しむこと

近年ハッカソンや開発コンテストなど、仕事以外で技術に触れる機会が増えています。私もいくつかの技術コミュニティーや企業の放課後部活動に参加しています。仕事ではなかなか触る機会のないARデバイスやツールをいち早く体験でき、プロトタイプできるのはおもしろいです。しかも技術コミュニティーにはその分野のスペシャリストやプロフェッショナルも多く所属しているので、興味を一段と深くするためにいろいろと学ぶことができます。

新しい技術やデバイスを知り、どうやってアプリケーションやサービスに作り込んでいくのか。アイデア発想からプロトタイプ、技術の組み合わせなどを知ることができます。私自身もmyThingsにどんな開発者ニーズがあるかをヒアリングしたうえで、チャンネル開発やアライアンスにもつなげることができました。

この経験は技術ブランディングにも生きており、例えばNGTを何に応用できるかxRコミュニティーに投げかけたところ、ARデバイスでの画像認識処理に使えないかなど、新たな発見もありました。

3. 自らがどんな未来を作りたいか想像しつづけること

テクノロジーを象徴するキーワードが登場すると、ついつい言葉じりに引っ張られてしまいますよね。IoTや人工知能(AI)などはバズワードであり、あくまで手段。それを使って何をしたいのか、どんな未来を作りたいのか。会社や個人で作りたいものやサービスについて考え、それを言語化し可視化していくことが重要です。エバンジェリスト活動は技術や機能を使いこなすだけでなく、その先のサービスやユーザー体験、コミュニティーといった社会へのコミットメントでもあると思います。

また一社で閉じず、業界や業種の枠組みを越え、お互いの守備範囲に閉じずにサービスの種を見つけていくことも大切です。

まとめ

改めて振り返ってみると、エバンジェリストだから意識してやっていることはあまりないともいえますが、活動の根っこにある部分を書き出してみました。

誰もが自分が開発に関わるプロダクトのエバンジェリストです。プロダクトを磨き込みながら、どうやって社会にインストールしていくのか。それぞれのもつビジョンや、そのために開発しているサービスや体験について共有する機会が増えるとおもしろいなと思っています。19日のブログ「Yahoo! JAPANの技術コミュニティ構築で大切だったこと3選」でも年始の「Bonfire Next #1」で新しいテクノロジー活用についての議論をするという紹介がありましたが、同様の試みは社内外で増えています。大きな時代のうねりにしていきたいですね。

今後の技術領域の情報発信を推進する中でも、これらの経験を生かしつつ、いろいろとチャレンジしていきます!

最後に

せっかくのアドベントカレンダーなので、何かプレゼントできないかなということで、この季節に合わせてmyThings Developersを使ったクリスマス演出を考えてみました。部屋に置かれたプレゼントを開けると、クリスマス気分を盛り上げてくれるという仕掛けです。クリスマスの朝にこの仕掛けを用意しておくと、家族と一緒に楽しめるかも。

概要

プレゼントの紙袋の中にMESHの明るさタグ(照度センサー)を配置。袋が開いたことを検知したら、myThings Developersのカスタムトリガーを発火。そこからさまざまなアクションが発動するというサンプルを紹介します。

準備するもの

今回の流れ

  1. myThings Developers の準備

  2. MESHソフトウエアタグの作成

  3. MESHアプリで明るさタグとソフトウエアタグ(myThings Developers)を繋いで、動かしてみる

作り方

MESHタグとmyThings Developersの接続については、昨年のQiitaに掲載した記事を参照してください。いずれもボタンタグを使っていますが、myThings Developersとの接続部分は同じです。クリスマスのみの利用なら、サーバーを介さないひとつめの記事でも十分です。

MESHアプリでの明るさタグの設定は次の通りです。紙袋やプレゼントボックスを開いて袋の中が明るくなることを想定し、「ふさぐものが無くなったら」という設定をしています。動きタグ(加速度センサー)を使って、「ふたが開いたら」「引き出しが開いたら」などの設定もできます。


(MESHアプリでの設定)

myThings Developersでアクションを設定します。カスタムトリガーの発火を受けて、Twitterに投稿をしたり、BOCCOが発話、部屋のPhilips hue(スマホでコントロールできる電球)がランダムに光るなどの演出を加えることができます。

さらにMESHアプリにもmyThingsカスタムトリガーに加えてさまざまなアクションを加えられるので、音声を流したり、写真を撮ったりしてさらに盛り上げることも。

所要時間はmyThings Developersのチュートリアルを入れても60分程度。MESH以外にも、micro:bitなどを使っても楽しい仕掛けができます。今回のブログには間に合わなかったのですが、年末年始に向けてmicro:bitとmyThingsで何か作ってみますので、またQiitaものぞいてみてください。

ぜひmyThingsを活用して、日常生活に新しいユーザー体験を加えてみてくださいね。よいクリスマスを!

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