こんにちは! 今回は新卒3年目の知花と三上が、3年ぶりにリアル開催された第33回 全国高等専門学校プログラミングコンテスト(以下、高専プロコン)にて、高専生が作った作品の魅力を伝えるべくインタビュアーとして参加しました。本大会は2日間にわたって開催され、ヤフーのスタッフで全部門のライブ配信を実施しました。
本記事では、高専プロコンの概要や様子、両名がインタビュアーの経験を通して感じたことや学んだことに主軸をおきつつ、ヤフーがなぜこういったイベント支援活動をしているのかと、主催する学生向けハッカソン「Hack U」の紹介をします。
ものづくりに取り組む学生にスポットライトを
ヤフーでは社内外のクリエイター活動をサポートしており、その一環でさまざまなイベントや勉強会の主催や協賛をしています。
特にヤフーが主催する「Hack U」という学生向けハッカソンでは、社内クリエイターにサポートしてもらいながら、ものづくりの楽しさを体感してもらい、学生からクリエイターになるきっかけを提供しています。ハッカソン最終日には、期間中に開発した作品のプレゼンテーションや作品展示会の様子をライブ配信しています。
第33回高専プロコン(2022年 群馬大会) 動画一覧(YouTube)
高専プロコンも、同じく学生がものづくりや技術を競っているイベントです。彼らの活躍をもっと見てもらえるようサポートしたく、配信のノウハウも持ったHack Uスタッフがおじゃまして、毎年ライブ配信という形で応援し続けているのです。各部門の様子をまるごと公式YouTubeにてリアルタイムで配信しております。
今回の高専プロコンでも、競技のライブ配信や作品のインタビューという形で学生とコミュニケーションをとりながら紹介することで、真剣にものづくりに取り組む学生にスポットライトを当てるお手伝いをしてきました。
ちなみにこの春にバトンタッチとなりましたが、ヤフーの前CTOが高専出身だったこともあり、配信を通じてものづくりの楽しさや魅力を知ってもらい、クリエイターを目指す学生のきっかけになればと思っています。
高専プロコンとは
高専プロコンは競技・課題・自由の3部門に分かれており、主催者から出されたテーマやルールに沿ったシステムを開発し、その独創性や完成度を競う大会です。
以下から各部門についての簡単な解説を行います。
競技部門
競技部門は事前に提示されたルールにのっとり、プログラムにゲームを解かせる競技です。
今年は群馬県の郷土かるた「上毛かるた」を用いた競技です。読まれた札をより正確に取ったチームが勝利するというルールですが、通常のかるたと違い読み札が複数同時に読み上げられるため、読まれた札が何かをきちんと聞き分ける必要があります。
読み上げの分析にも、機械学習を用いるチームや解析的に解くチームと解き方は十人十色で、非常に高度な技術・知識を用いて問題を解いていく学生たちの様子を見ることができました。
また、今年は決勝戦で満点正解を叩き出したチームが2つも現れ、優勝を決定するためのエキシビションマッチも開催されるなど、盛り上がりを見せておりました。
競技部門当日の様子はこちらから。高専生のアツい戦いを、わかりやすく親しみいっぱいの解説と共にご覧ください。
課題部門
課題部門は主催者から提示されるテーマに沿ったシステムを開発する部門です。
今年のテーマは「オンラインで生み出す新しい楽しみ」で、現在の社会情勢を反映したテーマとなっていました。
大人数でオフライン空間に集まりづらい昨今ですが、VRやネットワークを駆使して、遠方にいる人同士で一体感やリアリティをいかに出すかにこだわり抜いた作品が多かったです。全国規模の非接触鬼ごっこ、リアルとメタバースで双方向に釣りを楽しめる配信システム、オンラインお神輿体験などなど、オンライン空間を最大限に活用した独創的で面白い作品が盛り沢山でした。
また、オンライン上でのコミュニケーションにまつわる課題に対して、どうすれば会話をより盛り上げられるのか、人同士の繋がりを増やせるのかを丁寧に考察し、システムとして実装した作品も多く見受けられました。実際のオンラインコミュニケーションの場面でぜひ利用したいと思うような作品ばかりでした。
課題部門のプレゼンテーションの様子は以下の動画アーカイブをご覧ください。
自由部門
自由部門は、柔軟な発想で独創的な作品を開発する部門です。課題部門と違いテーマが設定されていない分、身近な問題から社会的にも解決されていない大きな問題に目を向けた作品やエンタメ性の高いおもしろ作品までさまざまで、より高専生らしい個性的な面や、彼らが感じている課題が見える部門となっていました。
一人暮らし世帯のこころの健康を支える鏡・地元の特産品の生産農家を支える農作物成長可視化システム・規格外野菜を農家さんが簡単にオークションに出せるシステムなど、社会の身近な問題にどう向き合い、どんな方法で解決するかがよく考えられており、高専生の問題提起力・解決力の高さを実感しました。
また、「お遍路文化」を後世に残すためのお遍路支援アプリ・枯山水の癒やし力から着想を得たサンドアート生成装置・性別を問わず気軽にメイクを楽しめる仮想メイクシステム・地球の裏側を覗ける望遠鏡など、「あったらいいのに!」を実現したひみつ道具みたいな作品もたくさんあって、まだまだ世界は楽しくなれるんだ、とドキドキしました。
自由部門のプレゼンテーションの様子は以下の動画アーカイブをご覧ください。
会場内でさまざまなドラマが生まれる高専プロコンですが、本大会のTwitterハッシュタグである「#procon33」を検索すると会場外でのドラマも垣間見ることができます。例えば競技部門に参加するチームは試合に備えて限界まで開発する姿に心を打たれてしまいました。
われわれが自由・課題部門の各展示ブースを回って、突撃インタビューした様子は以下の動画アーカイブをご覧ください。
高専プロコンに参加して思ったこと
三上 :
自由・課題部門ではどの作品も完成度が高く、しっかりとアイデアが作品として落とし込まれていました。その上で、プレゼンテーションの質の高さが目をひきました。インタビュアーとして各ブースを回ってみると、5分程度という短い時間ながら、端的に作品の概要や魅力、技術的な特徴をしっかりと説明できているチームが多いと感じました。わかりやすく内容がまとめられたポスターの配置やパンフレットの配布、デモブースを作って作品を実際に体験できるようにするなど、面積の限られたブースを最大限に活用してプレゼンテーションされていました。
こうして作ったものをアピールして、訪れた人に「実際にそのプロダクトを使ってみたい!」と思ってもらえるかという部分も含めて「ものづくり」なんだと再実感しました。また、このように相手に物事を伝える力は社会人でも頻繁に使う力なので、見習いたいなと素直に思いました。
知花 :
どのチームも課題に対するアプローチや着眼点の鋭さ・それを実現する技術力・作品の価値をアピールするプレゼンテーション能力が高いレベルで備わっているのを感じました。
自由・課題部門は「誰がターゲットか・何が必要か・本当にそれは便利か」がよく練られた作品が多く、インタビュー時実際に作品を触ってみたときも直感的に操作でき、利用シーンが目に浮かぶような作品ばかりでした。
また、実際にプロトタイプで実験した結果や当事者の声を元に作品を綿密にブラッシュアップしたり、開発手法などを決めスムーズに作業をすすめる工夫をしたりと、より良い作品を作るための工夫に余念がない印象でした。
競技部門は「問題をひもとく読解力・シンプルな問題に落とし込む理解力・ 高度な技術的知識」と、非常に高い能力が求められていたように思いました。いきなり満点を叩き出したり、一晩で解法を見直し試合で猛威を奮ったりなど、正確性を持ったアルゴリズムの実装・技術的知識の幅広さ、複雑な問題に対応する技術力を見せつけられました。
全体を通して、「一つのゴールに向かってやりきる」という点で高専生は非常に大きな力を兼ね備えているなと圧倒されるばかりでした。どんどん成長していく高専生たちのエネルギーを、間近で浴びることができた学びある2日間でした!
最後に
ヤフーでは、ものづくりに励む学生さん向けに、さまざまな課題解決・創作活動のための取り組み「Hack U」を実施しており、その一環としてハッカソンイベントを定期的に開催しております。学生さんのアウトプットの場としてのハッカソンで、ヤフー現役社員のサポートの下、学生自らが作りたいものを短期間で企画・開発・発表するイベントです。そして12月17日(土)には、高専生を対象にしたハッカソン「Hack U KOSEN 2022」の発表会を控えております。「!(びっくり)」をテーマにした、面白い作品が勢揃いしております。当日はYouTubeにてライブ配信しますので、高専生が仕掛ける「!(びっくり)」をご体感ください。
今後もHack Uではこういった取り組みを続けてまいります。最新情報はHack Uの公式Twitter ・YouTubeをフォローすることで受け取れますので、ものづくりが好きな方・興味がある方はぜひチェックいただければと思います。
Hack Uの活動をきっかけに、ものづくりの楽しさを知ってもらえたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
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- 学びがある
- わかりやすい
- 新しい視点
ご感想ありがとうございました
- 知花 朱里
- フロントエンド・バックエンドエンジニア
- Yahoo!しごとカタログのフロントエンド・バックエンドエンジニアを担当しております。会話が好きです。沖縄高専出身です。