こんにちは、Developer Relations アドボケイトの山本です。
ヤフーにはエンジニアやデザイナーといったクリエイターの活動を支援する制度「My Polaris」があり、その中の1つにクリエイターが常に自身の技術力向上を図れるよう学習活動を支援するための「技術活動費用補助制度」というものがあります。
本記事ではこの制度の紹介と、この制度の活用状況のデータを集計してヤフーのクリエイターの興味関心を可視化します。
技術活動費用補助制度とは?
冒頭でも触れましたが、エンジニアやデザイナーといったクリエイターの学習活動を支援する制度で、半年間で6万円を上限に、書籍、アプリ、デバイスなどの購入、セミナーや勉強会への参加、英語学習など、技術力の向上や知見・アイデアを広げることを目的とした活動に対して費用が補助されるという制度です。
ヤフーでは2017年10月から制度を開始しています。
ヤフーのクリエイターはどんな書籍を読んでいる?
この制度を利用する際は使った費用について領収書をもとに上長に申請するというワークフローがあるので、例えばどんな技術書を購入したのか、どんなセミナーに参加したのかといったことがデータとして蓄積されています。
今回は2018年4月から2019年3月まで1年間、書籍だけでも数万件あったデータを集計し、技術系、デザイン系それぞれで、ヤフーのクリエイターがどんな書籍を読んでいるかを紹介します。
技術系の書籍
言語・フレームワーク関連
以下の6冊が特に多く読まれていました。
- Java本格入門 ~モダンスタイルによる基礎からオブジェクト指向・実用ライブラリまで
- Spring徹底入門 Spring FrameworkによるJavaアプリケーション開発
- Spring Boot 2 プログラミング入門
- 基礎から学ぶ Vue.js
- Vue.js入門 基礎から実践アプリケーション開発まで
- Go言語による並行処理
Java関連の書籍が目立ちます。下の参考記事にある通り、ヤフーにおける標準言語の一つとしてJavaが位置付けられ、社内で利用できるPaaS環境でもSpring Bootベースのアプリケーションがサポートされていていることから学習ニーズが高いのだと思います。
参考:ヤフーにおけるJava事情を軽くご紹介します
フロントエンドではVue.js関連の書籍もよく読まれており、ここに挙げた以外にもNuxt.js関連書籍もよく読まれていました。ただ社内で実際に使われている技術としてはReactが多いようです。
参考:ヤフー株式会社におけるWebフロントエンドの技術選定
設計関連
以下の6冊が特に多く読まれていました。
- Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計
- 入門 監視 ――モダンなモニタリングのためのデザインパターン
- 増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門
- エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計
- 現場で役立つシステム設計の原則 〜変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法
- 実践ドメイン駆動設計
下の参考記事で開発環境のモダン化について紹介されていましたが、モダンな開発環境を上手にいかすためには設計思想もモダン化していく必要があるので、CleanArchitectureやDDD、上記の書籍ほどではなかったもののマイクロサービスアーキテクチャ関連の書籍はよく読まれているようです。
参考:環境のモダン化で、サービスに集中して開発ができている話
プログラミング関連
以下の4冊が特に多く読まれていました。
- リーダブルコード ――より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック
- 新装版 リファクタリング 既存のコードを安全に改善する
- Code Complete 第2版
- プリンシプル オブ プログラミング 3年目までに身につけたい 一生役立つ101の原理原則
エンジニアとして大切になる原理原則が学べるような書籍をまとめました。ジャンルの名前付けに悩んだのですが、ざっくりとプログラミング関連とさせてもらいました。「Code Complete」はいざ上下巻を購入しようと思うと勇気がいる価格だと思いますが、費用補助があると手を出しやすくなるのでありがたいです。
その他
今まで紹介したジャンルと比較すると書籍の種類は少ないものの、よく読まれていた技術トピックスとして「機械学習」「DevOps・SRE」「コンテナ技術」がありました。それぞれ多かった書籍を紹介します。
機械学習
DevOps・SRE
コンテナ技術
トピックスとして括るのが難しかったのですが、これまで紹介した書籍と同じぐらい読まれていたものも紹介します。
- Webを支える技術 ―― HTTP、URI、HTML、そしてREST
- ハッキング・ラボのつくりかた 仮想環境におけるハッカー体験学習
- テスト駆動開発
- 前処理大全[データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック]
- マスタリングTCP/IP 入門編 第5版
- アルゴリズム・イントロダクション 第3版 第1巻
セキュリティやプロトコル、アルゴリズムといったエンジニアとしてのベースラインを整えるような書籍はやはり多く読まれています。
デザイン系の書籍
以下の5冊が特に多く読まれていました。
- ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]
- Atomic Design ~堅牢で使いやすいUIを効率良く設計する
- なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉
- けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本
- [買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61
この中ではノンデザイナーズ・デザインブックが一番読まれていました。エンジニアの自分も本書だけは読んだことがあるので、タイトルの通りデザイナーだけでなくエンジニアも多く読んでいるのではないかと思います。
まとめ
今回はヤフーの技術活動費用補助制度の活用データをベースに弊社のクリエイターはどんな書籍を読んでるのかを可視化しました。
全体を通してみると世の技術トレンドが反映されるのは予想通りでしたが、この制度が始まる前からある名著も多く挙がったのが印象的でした。恐らく10年前であればスマホアプリ開発の書籍などが多く挙がっていたと思うのですが今回はほとんど出てこなかったので、また将来同じ調査をしたらどんな結果になるのか興味深いです。
この記事内容は書籍の良し悪しや順位をつけるものではありませんし、本制度の外で読まれている書籍も多くあると想定されるので、あくまで参考程度にはなりますが、もしまだ読んだことがない書籍がありましたらぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。
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