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テクノロジー

毎日使うけど忘れられないために 〜Yahoo!天気アプリの取り組み〜 #UX

Yahoo!天気・災害サービスでYahoo!天気アプリのデザインを担当している梶谷匡佑です。
梅雨もようやく終わりが見えてきましたが、台風やゲリラ豪雨、猛暑など天気が気になる季節がまだまだ続きます。
今回は、そんな課題を解決するのに役に立つYahoo!天気アプリについてお話させていただきます。
皆様が毎日目にするであろう『天気の情報』を扱う上でデザイン担当として工夫していること、意識していることなどを紹介していきます。

天気アプリのロゴ

Yahoo!天気アプリのご紹介

Yahoo!天気アプリは登録した地点の天気情報はもちろん、自分がいる場所にいつ雨が降るのかがわかる雨雲レーダーなどのコア機能をフックに2010年のAndroid版をリリース以降、たくさんのユーザーに利用されてきました。2019年7月現在では4000万ダウンロード*となっています。

まだ使ったことがないという方は、梅雨やゲリラ豪雨、台風など出水期を迎えるこれからの季節、ぜひダウンロードして使ってみてください!

iPhone版Android版

毎日使うアプリだから

前段でも触れましたが、天気というのは生活に密着した情報です。
私が天気・災害サービスを希望した理由も、自身の生活に一番密着した情報が天気情報だったこと、そして、それを知る手段としてYahoo!天気アプリを利用していたからです。まだ1ユーザーだった時に、雨雲接近通知を受け取って本当に雨が降ってきた時は感動しました。そういった成功体験をより多くのユーザーにも経験してもらいたいと思っています。

Yahoo!天気アプリは過去にリニューアルなどの大幅アップデートもありましたが、大きく変わらなかったのが設計です。
毎日使うアプリということで必ず使う重要な情報とそれ以外の情報で優先順位をつけ、優先度の高い情報がより少ない動作で確認できるように設計されています。

変わったデザインと変わらなかった設計

ただ、このあたりは取り扱う気象データが年々複雑なものになったり、異常気象などユーザーの天気・災害への意識が高くなるにつれて課題も出てきています。
これを解決するために、Yahoo!天気アプリとして新しい体験をどう提案していくかチャレンジになります。
デザイン担当としても楽しみなところです!

アプリの機能にも四季がある?

Yahoo!天気アプリには、雨雲レーダーを始めとしたさまざまな機能があります。
毎日使うアプリと言いながら、それらの機能が全て使われるかというとそうではありません。理由はいくつか考えられます。

1つ目はユーザーが自分には不要と判断したケース。これについては人によってニーズが違うので解決が難しいです。
2つ目はユーザーが機能そのものに気づいていないケース。3つ目はその機能が活躍するシーズンが終わったケース。そしてシーズンが終わると悲しいかな、ユーザーはその機能を忘れてしまいます。

これらは次のような取り組みでユーザーをサポートしています。
例えば、チームでイベントカレンダーを作成し、そのイベントに対して訴求するべきアプリの機能を設定、クリエイティブやコンテンツを準備しよりベストなタイミングで訴求を行います。
こういった季節・ユーザーに合わせた提案を試行錯誤しながらユーザー体験を改善する施策も大切です。

ユーザーへのサポート例

より伝わる天気への取り組み

Yahoo!天気アプリの一番大切にしている部分はなんといっても天気予報です。
ここをおろそかにしては元も子もありません。そんな天気予報の顔である天気マークについても、よりユーザーが天気をイメージできるものへと改修しています!

気づいていない方もまだいるかもしれませんが、昨年のアップデートで行った改修を紹介します。
わかりやすいところで、それまで1種類だった「くもり」の表現を2種類に分けました。

さまざまなくもりの写真

青空が見える「くもり」・白い雲に覆われてるけど雨が降らなそうな「くもり」・黒い雲に覆われて今にも雨が降りそうな「くもり」、パッと思いつくだけでもこれだけある「くもり」を、それまでは全て同じ「くもり」として取り扱っていました。
これではユーザーが一番関心があるはずの「雨」の可能性を伝えることができておらず、これだけ「くもり」に幅があると同じくもりマークでもユーザーの受け取る印象はかなりばらつきがあり、人によっては天気予報が外れたという印象を持ってしまいます。これは天気予報を取り扱うサービスとしては致命的なことです。

そこを解決するために、天気情報の提供元であるパートナーのウェザーマップさん(株式会社ウェザーマップ)と検討し、雨は降らない「くもり」と、雨の可能性がある「くもり」の2種類に分けました。

新しいくもりのマーク

どのようなデザインにするとより正確にニュアンスを伝えられるか? 受け取るイメージが偏りすぎていないか? 2種類の「くもり」を分ける数値的な情報と鑑みて違和感はないか? などに加えて、実際天気マークが利用されるさまざまな表示サイズでも正しく伝わるかなども踏まえて決定しました。

検討したくもりマーク案

ニュアンスまで伝えることで、ユーザーはより少ないステップで意思決定ができるようになります。
こういったユーザーの意思決定にアプローチする取り組みも、Yahoo!天気アプリ担当デザイナーの重要な役割です。
そして、新たな機能をリリースしただけでは自己満足で終わってしまうので、認知に対する取り組みや、伝えるべきニュアンスがより多くのユーザーに伝わるデザインを検討していくことも必要になってきます。

アクセシビリティへの取り組み

天気情報は多くの人の生活に密着した情報と書きましたが、そこにはさまざまな障害がある方も含まれます。
そんな中でもロービジョン(弱視、色覚異常、視野欠損、視野狭窄などを総称した言い方)の方へ情報を正しく伝えるところは、デザイナー主導で進められます。

ヤフーにはノーマライゼーションプロジェクトという社内の障害当事者が有志で集まって活動しているプロジェクトがあり、テストケースとして実際にロービジョンの方に利用してもらいフィードバックをもらうという取り組みが始まりました。
天気・災害という扱う情報の性質もあり私たちのチームからいち早く相談を持ちかけ、このプロジェクトと取り組みを始めることができました。

ヤフーにはアクセシビリティに関するガイドラインもあり、視認性を機械的に確認するツールもさまざまありますが、それだけでは私自身も自分のアプローチが正解なのか確信が持てませんでした。
そこで実際にロービジョンの方からフィードバックをもらうことで課題の整理や優先順位付けが可能になりました。
一例として、Yahoo!天気アプリでも扱っている災害系の画像改修で全ての情報を正確に伝えようとしていたところ、プロジェクト側からのフィードバックを受けて危険度が高い情報が必ず伝わるように方針を変更し実装を進めることができました。

また、アクセシビリティに対する取り組みではロービジョンと一括りにしがちですが、それぞれで見え方が全く違うことも個人的には新しい気づきでした。
社内に障害当事者の方がいて一緒にこういった取り組みができることは恵まれた環境です。さまざまな人に情報を届けるアクセシビリティの改善は私たちデザイナー次第であり求められる役割の1つです。

終わりに

今回紹介させていただいた内容はほんの一部です。デザイナー主導の取り組みからチームとしての取り組み、パートナーと一緒に進めていく取り組みなど、より良い天気アプリにするための取り組みは多岐にわたります。
現在もたくさんのユーザーにご利用いただいてますが、課題もまだまだたくさんあります。
これからも皆様の生活により密着し意思決定に貢献できるアプリを目指して頑張ります。

*App Store ConnectとGoogle Play Consoleのダウンロード数合算

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