こんにちは。黒帯として、社内でのテスト自動化推進をおこなっておりますシステム統括本部の山口(@teyamagu)です。
ここ数年、ソフトウエア開発やソフトウエアテストのトレンドの1つとして、テスト自動化に注目が集まっています。Yahoo! JAPANもそれらのトレンドに沿う形でテスト自動化を強化しています。
そこで本日は、Yahoo! JAPANのモバイルアプリのテスト自動化環境と、私や同僚が参加した海外カンファレンスなどでの最近のテスト自動化の動向について簡単にご紹介します。
Yahoo! JAPANのモバイルアプリのテスト自動化環境
モバイルアプリのテスト自動化の環境として、AppleからXCTest/XCUITest、GoogleからEspresso、とテストツールが提供されるようになってきました。また、モバイル端末の多様化に伴い、GoogleやAmazon、その他の企業から、モバイルアプリのビルドおよび実機テスト環境の貸出サービスが提供されるようになってきました。
Yahoo! JAPANにおいては、モバイルアプリのテストの効率化として、従来より共通ビルド環境や社内の検証端末への半自動配信をおこなっておりましたが、新たに社内でのUIテスト環境を開発、利用を開始しました。
モバイル端末の多様化への対応だけでなく、開発中の環境の利用やログイン処理などの社内でのUIテストを効率的におこなうため、かつ不安定になりがちなUIテストを安定的に実施するために、上記の様な一般的なテストツールをベースとして、環境やツールを社内開発しました。
現在、社内ではこれらを利用したUIテストの自動化やユニットテストの強化などを進めています。
最近のテスト自動化の社外動向
最近のテスト自動化の社外動向として、私や同僚が参加した海外カンファレンスでのテスト自動化の取り上げられ方と、ISTQBでリニューアルして公開されたテスト自動化エンジニア資格について紹介します。
海外カンファレンスでのテスト自動化の取り上げられ方
STARWEST
STARWESTは毎年10月にアメリカのアナハイムで開催される、ソフトウエアテスト・品質改善に関する大規模なカンファレンスです。6日間で100をこえるセッションがあり、世界中から人が集まるカンファレンスとなっています。同様のカンファレンスとして、STAREASTというカンファレンスが毎年5月にアメリカのオーランドで開催されています。
筆者の同僚が今年のSTARWESTへ参加したのですが、そこでは、モバイルアプリのテストやDevOps/クラウド/IoT/ビッグデータなどホットトピックに関するテストや、テスト自動化時のテストデータの戦略など先進的な話が議論されていたそうです。特に、ドメインなどを特化する形で、より効果的・効率的なテスト自動化に関する話があったとのことです。
Selenium Conference UK
Selenium Conference UKはブラウザー操作の自動化ツールであるSeleniumのカンファレンスです。
Seleniumは最近メジャーバージョンアップされるなど、開発が盛んにおこなわれていますが、それを反映するかのようにカンファレンスにも多くの参加者やSeleniumのコミッターが参加していたそうです。
参加した同僚によると、特に、OSやブラウザーベンダーからの参加者も多く、それぞれベンダーの製品の自動操作をSeleniumもしくはそこで用いられているWebDriverプロトコルによって公式に進められていくことを感じられる場だったそうです。また、Seleniumで用いられているWebDriverの対応をさらに拡大していく話もあったそうです。
Agile Testing Days
Agile Testing Daysは2008年から欧州で年1回開催され、今回で8回目を数えるアジャイル開発におけるテスト/品質保証に関して特化したカンファレンスです。
参加者は徐々に増えてきており、今年は500名程度の参加者でした。日本人の参加者としては今回、筆者がおそらく初めて参加しました。
このカンファレンスには世界中の多くの国からテストエンジニア/品質保証担当者が参加しており、数多くの講演やワークショップとともに、参加者同士の情報交換や議論がおこなわれました。
カンファレンスでは、テスト自動化は当たり前の認識になっており、より効率的にテスト自動化をおこなうにはどのようにしたら良いかや、そもそものテストや品質をどのように考えるかなどに関して多く話されていました。
ISTQB Advanced Level Test Automation Engineer
ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)はテストの技術者試験をおこなっている世界的な非営利団体です。その団体が最近、Advanced LevelとしてTest Automation Engineerの資格の公開をおこないました。
Test Automation Engineerの資格は以前一時公開がとりやめられていたのですが、最近になり内容が変化した形であらためて公開されました。
この公開により、今後、テストエンジニアの特化したスキルの1つとして、テスト自動化も認識されていくのだろうと予想しています。
最後に
今回は、社内で利用を進めているモバイルアプリ向けUIテスト環境や、最近のテスト自動化の動向として、より当たり前化および高度化が進む状況について簡単にご紹介しました。
今回ご紹介できなかったUIテスト環境の詳細などは今後なんらかの形で紹介していきたいと思います。
こちらの記事のご感想を聞かせください。
- 学びがある
- わかりやすい
- 新しい視点
ご感想ありがとうございました