こんにちは。情報システム本部の伊藤(@koh110)です。
社内システムの開発、運用を担当しています。
弊社は10月に本社を東京ミッドタウンからガーデンテラス紀尾井町へ移転しました。
情報システム本部では本社移転に合わせ4つの社内システムをリリースしました。
今日はこちらのシステムについて紹介をさせていただこうと思います。
社内位置情報システム(pozzy)
このシステムは社内のWi-Fiにつながっている端末を検出し、人の位置情報を検索できるようにします。
ヤフーでは全社員にPCとiPhoneを貸与しています。これらの端末は各端末に発行された証明書によって社内のWi-Fiに自動で接続されるように設定されています。
この情報を利用して端末と各社員を紐づけて検索可能にしています。
フリーアドレスになりミーティングが会議室を使わず空きスペースで行われる事が多くなりました。
そんな時にもこのシステムからミーティング相手を検索し、場所を発見する事ができるようになりました。
また人を探せるだけでなく各フロアの混雑具合も画面上に表示されているため、今の時間は社食が混んでるな、などもわかるようになり位置情報がいろいろな角度から利用できるようになりました。
紀尾井町への移転が決まったタイミングで全社的なフリーアドレスを導入するという決定があり、
情報システム本部では先行でフリーアドレスを導入し実験を行いました。
先日弊社CTOの藤門の記事でも軽く紹介がありましたが人の位置に関するさまざまが課題があがり、
それらを解決するため社員の社内位置情報を検索できるシステムを作ろうという話がでました。
システムを構想した際に、いくつか利用技術の候補がありました。
ビーコンを社内に設置する/社員に配る
メリット: 自分たちで自由に実装できる
デメリット: 電池切れや故障などランニングコストが高いYahoo!地図で導入されている屋内測位を利用する
メリット: サービスに導入実績があり、かなりの高精度
デメリット: ソフトウェアのインストール/起動が必要Wi-Fiの接続情報から表示する
メリット: ユーザになにもしてもらう必要がない
デメリット: 高精度にするのが難しい
社内システムでは利用しやすさが何より大事だと考えています。
ソフトウェアのインストールを必要としたり、電池の交換や故障の修理などユーザ側への負担をかけてしまうといずれ利用するメリットより面倒臭さがまさりシステムが使われなくなってしまいます。
そういった理由から精度には多少欠けるが、全社員がすでに使っているWi-Fiを利用する事が最善と判断しました。
とは言え精度もピンポイントで表示とまではいかないですが十分実用には耐えられるレベルです。
またネットワークチームと協力し、地方拠点にも検知可能なWi-Fiを導入する構想があり、今後は拠点をまたいだ位置検索が可能になる予定です。
数千人の社員の位置情報というデータは他ではなかなか手に入らない貴重な情報なので、なにか面白い活用法がないか検討しています。
空調管理システム(Air-con)
このシステムでは社内にあるエアコンをweb上から操作する事ができます。
東京ミッドタウンで勤務していた頃は、空調は申請ベースでかなり使いづらいものでした。
また19:00には空調がストップし、担当部門の方がいない時はどんなに暑くても寒くてもそれ以上は我慢しなければなりませんでした。
そこで紀尾井町ではビルの建設前から情シスが関わり、ベンダーと調整してエアコンをAPIから利用できるようなりました。ベンダー側でもAPIを公開する事は初めての経験だったそうです。
これにより全社員が自分のいる場所の空調をリアルタイムに、自由にいじる事ができるようになりました!
また、空調を消し忘れた時にも帰りの電車の中でOFFにする事ができ、IoTの力を活かせています。
before(ミッドタウン時代)
- 時間外空調の予約に申請/承認が必要
- 事前に時間外空調の予約を忘れるとメールで依頼
- 温度の設定も同様に申請/承認が必要
- 承認完了後、担当部署がビルの施設管理に連絡し温度を調整
after(紀尾井町)
- 申請/承認不要で誰でも時間外空調の予約が可能
- 予約してなくてもその場で空調のON/OFFが操作可能
- 暑い、寒いと感じたらすぐその場で温度設定の変更が可能
- web上での操作後リアルタイムで温度が変わる
Air-conリリース後、社内SNSであるMYM上でもかなり反響がありました。
また、移転した時期がちょうど暑い時期だったためすごい量の利用があり、移転前と比べ約18倍の空調費用が発生しました。
費用は頭の痛い問題ですが、それだけ皆が利用する = 需要のあるシステムを作れたのではないかと思います。
来客予約システム, 入退室権限管理システム
移転によって来館のフローや各部屋への入室管理の方法もがらっと変わりました。
来客管理システムではビルのフラッパーゲートのAPIと連携し、社員が来客の予約をするとQRが発行され来客予定の方にメールで送信されます。
実際に来客された方がQRを受付にかざすとメール or チャット or 情シスアプリへのプッシュ通知で来客をお知らせします。
入退室権限管理システムは各部屋の入室管理をweb上で行う事ができます。
各部屋についているカードリーダと連携し、社員証のデータと各部屋の入室権限を照らし合わせてドアを開ける仕組みです。
こちらのシステムにより人手で管理されていた入退室権限を自動でビル側へ反映する事ができるようになりました。
おわりに
その他にも紀尾井町移転に伴い、社食を社員証で決済できるようにしたり、全会議室にテレビ会議システムを導入したり、インフラを根本的にリニューアルするなどかなりのインパクトがある移転となりました。
特にビル建てる段階からビルと連携し作り込んでいけたのはとても面白かったです。
ヤフーの情シスではこれからも技術的にも新しく挑戦的なシステム/インフラを構築していきます。
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