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テクノロジー

ビジネス職とクリエイターが一緒に社内ハッカソンに挑んで得られたこと

先日アスクル/一休/PayPay/ヤフー/ZOZOテクノロジーズで共同開催した、企業内ハッカソンイベント「Internal Hack Day」参加者からの寄稿記事を紹介します。
イベントについてはこちらをご覧ください。

こんにちは! ヤフーのビジネス職(総合職)で採用され、現在「オフィス最適化推進部」(通称:オフィ推)で働いている山口です。
この記事では、Internal Hack Dayで入賞した職種混合チームのメンバー(ビジネス:山口 デザイナー:中司(ちゅうし) エンジニア:佐藤、橘)がそれぞれの視点から感じた、異なる職種のコラボレーションが生むメリットや、メンバーの強みを最大限発揮するコツについて読者の皆様にお伝えできればと思います。
Hack Dayに限らず、職種の壁を越えたアイデアやプロトタイプを作る際のヒントにしていただければと思います。

目次

作品説明

「安全かつ、場所や部門を超えて自由にコミュニケーションができるオフィスの仕組み」をコンセプトとした、提灯を活用したオフライン・オンラインを問わずブレーンストーミングを行えるシステムを実装しました。
コロナウイルス対策を最大限配慮しつつも、オンラインとオフラインの垣根を越えて気軽にアイデア出しやブレストに参加できるデバイスとUIを24時間で作り上げました。
その結果、「ウィズコロナによる職場環境や働き方が変わることに対応したサービスや価値を提供した」ことでアスクル賞を受賞しました!

提案する新しいオフィスの形(NEO office) NEO officeで使う提灯
左の画像:提案する新しいオフィスの形(NEO office)
右の画像:NEO officeで使う提灯

ビジネス職の僕がHack Dayに参加してみて

まずは僕が体験した、Hack Dayの面白さをお伝えしたいと思います。
普段は社員が働くオフィス環境を整える仕事をしており、ハッカソンとは正直縁遠い存在です。
そんな僕が同期のクリエイターたちに誘われ、今回Internal Hack Dayに初めて参加して刺激的で貴重な体験をすることができました。
Hack Dayで感じたワクワク感や、エンジニアやデザイナーじゃない人が参加することで生まれる可能性について感じていただけると嬉しいです。

最初は不安、だけど…最高に楽しい!

今回参加したきっかけは同期のエンジニアに誘われたことです。
誘われた当初は戦力になれるか不安で、飛び交う技術用語もわからないものが多かったですが、普段触れている技術の裏側が垣間見えワクワクしてきます。
また技術がなくとも普段感じている無邪気な思いをクリエイターに話すと、「この技術でできる」という技術的なアイデアが次々と出てくるのは、普段の業務では味わえない新鮮さでした。
思い切ってオフィ推が抱えている課題をぶつけてみると、クリエイターたちはコロナ禍でのオフィスの実情に興味を示してくれました。
そこでオフィスで安全が担保されつつ、新たな交流が生まれる仕掛けを作ろうと考えたのです。
オフィ推が持つ経験・知見とクリエイターの発想力・技術力が結びついた瞬間でした。
このメンバー構成だからこそ、オフィスを舞台にオフラインの価値を向上させる作品をつくることが出来たのです。

普段の業務とつながる

今回発表した内容は、オフィ推のメンバーから実現に向けたフィードバックを多数いただけました。
アイデアと技術を掛け合わせ実際に形にしたからこそ、発表だけで終わらず実現に向けた次のステップを踏み出せたのです。
ビジネス×クリエイターでの課題解決には大きなポテンシャルがあると感じました。

デザイナーから見た他業種とのアイデア出しとまとめ方

チームでデザインを担当していた中司です。
この章ではデザイナー視点でいろいろな職種の人を文化の違いを乗り越え、なおかつ尊重しながら進めるために工夫したことをお話しします。
ハッカソンのアイデア出しから一つに決めるフローで重要なことは、「自分(メンバーそれぞれ)が納得して決めた」という意識を持ってもらうことだと思っています。
なぜなら、この意識を持つことでアイデアを自分ごとに考えることができ、短い時間で完成させる気持ちを高めることができるからです。
このチームのアイデア出し(ブレインストーミング)は、それぞれの職種のバックグラウンドが以下のように色濃く現れました。  

ビジネス:オフィスの課題解決  
エンジニア:自分が作れるものを使った課題解決(ガジェット系)  
デザイナー:ユーザーの体験の改善

 
この3種が合わさることにより、「自分が作れるオフィスの課題解決」や「オフィス利用者の体験の改善」など各視点を織り合わせたアイデアが続々と出てきました。
やはり、アイデア出しは多角的な視点があればあるほど盛り上がります。

アイデアをまとめるためのブレインストーミングの様子

画像:アイデアをまとめるためのブレインストーミングの様子

しかし、複数の視点が含まれたアイデアたちを、職種ごとに重視する基準が違うため最後の一つまでに絞ることに四苦八苦しました。
先ほど出た「自分が作れるオフィスの課題解決」のアイデアを例とすると、決める時それぞれこのように思うのです。  

ビジネス:オフィスの課題をキャッチアップしてくれているけどそのシステムは実現しづらいな…  
エンジニア:これなら作れそうだし課題解決もできる!  
デザイナ:うーん、微妙

 
他のアイデアだとこの意見が真反対になったりします。
視点を混ぜたアイデアは発散に向いていますが、収束するには工夫が必要でした。
そこで、収束するための選定する軸を決めることにしました。
メンバーそれぞれに今回のHack Dayに対してどういう思いで参加しているのかを聞き、なるべく包括できる言葉に組み直していきます。決まったのは以下の2軸です。

  • 身近で強みを生かせる
  • テーマに沿っていて入賞できそう

それとは別に自分たちが大事にするマインド”ワクワク感”を最終決定軸にしました。
このようにして、メンバー間で軸を統一することで最後の一つまで絞ることができました。


画像:アイデアを収束させる際の判断軸

ここでは、いろんな職種を交えたアイデア出しの様子と収束の仕方について述べました。
職種にフォーカスして話しましたが、参加する人のバックグラウンドが違うのは当たり前なことです。
このやり方は幅広く応用できるのではないでしょうか。
ぜひ、アイデア出しのときに参考にしていただければと思います。

エンジニアから見たメリットと工夫

続いて、開発を担当していた佐藤と橘です。
このHack Dayでは、作品を見た人が「ウィズコロナで変わる世界に必要な作品だ」と思ってくれる作品、すなわち「世に出せる作品」を作りたいという思いを持っていました。
そのためには、Hack Dayの聴衆に強く訴えかけることができるメンバーを集める必要があると考え、異なる職種の二人を誘いました。
この章では業種を越えてチームを組んだ事で感じた、メリットや業種混合ならではの課題と工夫を書きます。

得られたもの

普段一緒に仕事をしないメンバーと一緒に出場することで、3点のメリットが得られました。

  • オフィス×テクノロジーという自分が普段触れない領域の課題に取り組める
    世に出せる作品しするには「オフィスにおける実現性」の制約を意識してものづくりをする必要があります。
    そのため現在のオフィスが抱える課題を理解し、課題の解決法について議論することで、自分たちの視野が広がり刺激を受けることができました。
  • 作りたいからつくる」から「必要だからつくる」というマインドに
    今まで参加したHack Dayでは「面白そう」というモチベーションで本筋から外れた機能を実装することもありました。今回は「作品を通して何を訴えたいか」を突き詰めたことで、実装する機能がデモに必要なものだけに洗練されていき、制作の24時間を有効に活用できました。
  • 自分の強み・弱みを知ることができる
    全員が異なるバックグラウンドを持っていることで、課題に対しての新しい捉え方を発見したり、自分の視点が他のメンバーに気づきを与えられる成功体験を積むことができました。

工夫したこと

クリエイターでない方にとってはハッカソンやものづくりは身近なものではないため、作業イメージやアウトプットを具体的に伝えることを重視しました。
アイデアを作品イメージにする過程では「〇〇センサーを組み合わせて…」「△△構造使って入れ子に…」のような専門的な会話があり、メンバー間で認識が食い違っていました。
その反省を踏まえ、「ユーザーが〇〇な動きをしたら△△が起きる」といった動作イメージで伝え、お互いに分かりやすいコミュニケーションを心がけました。
また24時間の間に作業量に偏りが生じてしまうことがないよう、それぞれの職種の得意分野を見極めてこのように業務分担をしました。  

ビジネス(山口):プレゼンのストーリー作成 
デザイナー(中司):UI/UXデザイン  
エンジニア(佐藤):デバイスの実装
エンジニア(橘):UIとデータベースの実装

 
その結果時間を余すことなく活用でき、作品のクオリティーを高めることに集中できました。

おわりに

今回はビジネス・デザイナー・エンジニアという3つの視点から、Hack Dayで実感した学びや、異なる職種がタッグを組むことで生まれる可能性についてお伝えしました。
ヤフーはさまざまなバックグラウンドを持つ人財がそろい、それぞれが多様な知見を持っています。
Hack Dayという機会を活用し、多様な職種・部門の知恵を結集することで、想像以上の課題解決を生み出せるはずです。
多種多様なコラボレーションの楽しさを一人でも多くの人に感じていただけたらと思います!

執筆者から

山口より

普段考えている「今後のオフィス」についてクリエイターのアイデアを取り入れ、自由な発想で作品を生み出せた経験はとても刺激的でした。
技術に自信がない…そんな人もハッカソンにぜひ参加してみてください!
きっと普段の仕事が新鮮で違った視点で見えてくるはずです

中司より

参加するごとに違う面白さが体験できるHack Dayですが、今回は格別でした!
職種が増えることで苦労することも増えますが、それを乗り越えると素晴らしい作品を作ることができます。
デザイナーが活躍する場面がとても多いので一度でもいいので参加してみてください。

佐藤より

ハッピー佐藤(@pimsato)です。
学生の時から通算5回目のHack Day参加でした!
私はなるべく他業種と交流を持つようにしています。
営業、バックオフィス、その他普段は関わらないお仕事を尊敬のまなざしで日頃見ていて、そこからどんなコラボレーションができるか考えるのを日頃から楽しんでいます。
ぜひデザイナーやビジネスと混成チームを組んだことがないエンジニアの皆様、このワクワクを感じていただきたいです!

橘より

エンジニアの橘(@moja_0316)です。
元々ものづくりをするのが好きで、Hack Dayには可能な限り出場しているほか、普段からHack Uの運営を行い、ハッカソンに慣れ親しんでいます。
今回のInternal Hack Dayではタイムリーなテーマが設定されたため、今自分たちや世間が直面する課題と真摯に向き合い、自分たちが技術で何ができるかを考え抜く非常に良い機会でした。
世界中が大変な状況になっている中、この記事が「自分の力で何か課題解決ができるのではないか」と皆さんの力を生かすきっかけになると嬉しいなと思います。

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  • わかりやすい
  • 新しい視点

ご感想ありがとうございました


山口 宇彦
オフィス最適化推進部
主に東京のオフィス運用・保守を担当しています。名古屋オフィスや那覇センターの構築にも携わりました。
中司 智朱希
UI/UXデザイナー
新規事業の部署でUI/UXデザインを担当しています。みんなでものを作ることがとても好きで、ハッカソンなどのイベントに出ています。Hack Dayは社内外含め6回目です!
佐藤 公治
バックエンドエンジニア
通知系のプラットフォームを担当しています。ものづくりが大好きで、特に電子工作やレーザーカッターを使った加工を楽しんでいます。 LODGEではFab機器インストラクターとしても活動しています。
橘 拓馬
データプラットフォームエンジニア
Apache Kafkaを用いたデータパイプラインの運用や開発を主に行っています。ときどき学生向けハッカソンHack Uの運営も行っています。

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