こんにちは、ヤフー株式会社 Developer Relations アドボケートの山本です。
去年12/14,15に秋葉原で弊社主催のクリエイターフェス「Yahoo! JAPAN Hack Day 2019」を開催しました。
「Hack Day」は、ものづくりの面白さを体験する祭典です。日本最大級のハッカソンや、注目のコンテンツをそろえた体験ブースなど、盛りだくさんのイベントを毎年開催しています。本記事ではHack Dayの中で行われたハッカソンに注目してレポートします。
Hack Dayとは?
作りたいものを使いたい技術で気の合う仲間と作る。これはクリエイターが最も輝くシチュエーションです。
ヤフーではクリエイターが輝ける環境づくりを目指しており、その1つが10年以上前から続いているこのHack Dayです。
決められたテーマはなく、連続した二日間(24時間)でアプリやデバイスの開発に挑戦します。プレゼンテーションの準備もその期間内に行い、各チーム90秒で作品を発表します。
もともとは社内のハッカソンイベントとして始まり、2013年からは一般のクリエイターのみなさまもお招きし、日本最大級のハッカソンとして企業や年齢の枠を越え独創性・技術力を発露しあう場に、そして2017年からは、見て・触って・作って楽しめる展示・体験コーナーも用意し、誰もがテクノロジーを楽しめる、ものづくりをオールナイトで楽しむフェスとなっています。
先日、社内ハッカソンとして開催したHack Dayのレポートも公開しているので、ご興味ある方はご覧ください。
ヤフーの社内ハッカソン「Internal Hack Day」を紹介します
受賞作品一覧
「Yahoo! JAPAN Hack Day 2019」では日本全国から300人以上、72チームに出場いただきハッカソンを開催しました。たくさんの作品の中からプレゼンテーションと展示による審査を行い9つの賞を用意し表彰を行いました。それらの受賞作品を紹介します。
最優秀賞
WakuWaku、Tech、Hackのすべての観点において優れた作品
- 作品名:おそうじぶーぶー
- 概要:遊びながら掃除できちゃう掃除機。掃除機一体型ラジコンをVRで運転、部屋を走りまわってゴミを捕まえよう。集めたゴミは、画像認識と機械学習技術でスコア化されます。
- チーム:スパークジョイ(Hack ID:40)
WakuWaku賞
楽しく、使ってみたいと思わせる魅力がある作品。ゲスト審査員のわくわくさんこと久保田雅人さんが選定。
- 作品名:MOGbee
- 概要:大切な通知だけを教えてくれるスマホ充電器。充電中は、さほど大事でない通知をモグモグ食べてしまう。たくさん届く通知をアルゴリズムでフィルタリング。
- チーム:MOGbee(Hack ID:63)
Tech賞
技術力がすぐれている作品
- 作品名:KITSUKE
- 概要:着物の着付けを気軽に試せるカメラアプリ。時間がかかる着付けを外国人観光客でもお手軽体験。ディープラーニングで骨格を推定し、着物の画像を合成します。
- チーム:チーム名、どうするよ、、、?(Hack ID:56)
Hack賞
他の人が思いつかない用途開拓や応用力に優れた作品
- 作品名:TNデジタル試着システム
- 概要:鏡越しだと違った映像が見えるディスプレーシステム。液晶と鏡を並べることで、洋服試着のBefore/After比較などに。液晶パネル特性の弱点を逆に活用。
- チーム:HCIゼミ(Hack ID:48)
Data賞
データを活用して最も新しい体験を生み出した作品
- 作品名:絶対ゼロカロリー領域
- 概要:食べ物をカロリーゼロということにしてくれるテーブル。強引に理由をつけるというゼロカロリー理論を表示。画像認識で料理種類を判定してテーブルに投影します。
- チーム:はなまるチャレンジャーズ(Hack ID:2)
O2O賞
オフラインデータを利活用し、最も新しく魅力的な体験を生み出した作品
- 作品名:都会のオア鮨
- 概要:自走してくるお寿司。注文履歴から機械学習し、次に食べたくなる寿司ネタを運んでくれる台車。位置情報認識用パターンとして、部首に魚を含む大量の漢字が使われています。
- チーム:ポピポポピピプピリロピロリププププピーポ(Hack ID:20)
UI/UX賞
優れたUI/UXデザインにより、最も新しく魅力的な体験を生み出した作品
- 作品名:EMBLE
- 概要:お絵かき感覚の刺繍システム。自分では難しい刺繍も、文字やイラストや手書きすればミシンがやってくれます。手書き入力をSVGデータに変換してミシンへ。
- チーム:CANDY CHUPS Lab.(Hack ID:73)
Happy Hacking賞
ニコ生投票、出場者投票の最多票数獲得作品
- 作品名:都会のオア鮨
※O2O賞、Happy Hacking賞、Buzz賞のトリプル受賞
Buzz賞
ハッカソン開始後から指定期間内に、Twitterで最多RT+いいね数を獲得した作品
- 作品名:都会のオア鮨
※O2O賞、Happy Hacking賞、Buzz賞のトリプル受賞
利用技術の傾向について
2018年の開催レポートでも行ったのですが、今回もハッカソンで生まれた各作品で利用されている技術要素を集計したので紹介します。前回はプレゼン内容や作品の機能から推測して集計したのですが、今回はチームのみなさまにアンケートにご協力いただいたのでより正確な内容になっていると思います。
成果物の割合
※1つの作品が複数の成果物で構成されることもあります
前回のHack Dayでは41.3%の作品で電子工作が行われていたのですが、今回は20%と大きく減りました。ハッカソンの醍醐味の一つに「普段触らない技術にチャレンジする」ことがあると思いますが、そういう意図での利用が減った、すでに一般的な技術として浸透してきたという見方もできるかなと思います。
AR/VR/xRアプリは絶対数は前回とあまり変化はないのですが、より細かく分類するとVR関連の作品が多くなった印象でした。
利用言語について
利用言語としてはPythonが人気でした。IoTや機械学習系の作品が増えた頃から利用が増えた印象ですが、最近はWebアプリのバックエンドでの利用も増えています。
また今回フロントエンド用途とバックエンド用途を別で集計するためにJavaScriptとNode.jsを分けたのですが、さまざまな環境でも使いやすいJavaScriptは根強い人気だと感じます。
C#はほぼUnity上における活用だったようです。ヤフーでは学生限定の「Hack U」という開発イベントも開催しているのですが、そちらでは20%弱の作品でUnityが活用されており非常に人気です。学生クリエイターのスタンダードにもなってきているので来年以降さらに割合が増えていきそうです。
参考:ヤフー主催の学生ハッカソン「Hack U 2019」今年は全国5会場で開催しました!
利用インフラについて
IaaSやPaaSにどんな技術が採用されているかを集計しました。
AWS、Firebase、GCPがほぼ横並びでした。45%が無回答だったのですが、おそらくスタンドアロンで動作しているアプリケーションがこれに該当しているのだと思われます。もし次回アンケートを取る場合は、例えばAWSでも具体的にどんなサービスを使っているのかも集計してみたいです。
その他
言語やインフラ以外の使用した技術要素についてもアンケートを取らせていただきました。かなりバラついたのですがその中でも利用言語として人気だったPython向けWebフレームワークのFlask、AR/VR/xRアプリ向けにUnity、その他にもOpenCVがそれぞれ9作品で活用されていました。
アンケート結果
アンケート結果を公開します。TSV形式で文字コードはUTF-8です。アンケートは任意で収集させていただいたので全チーム分はそろっていませんが、それぞれの作品がどんな技術で構成されているか興味ある方はご覧ください。
最後に
「Hack Day」は、ものづくりの面白さを体験する祭典です。今年もすべての作品のプレゼンテーションを拝見したのですが、「こんな技術があるのか、帰ったら試してみよう」「あの技術をこう使うか!」と本当に技術的好奇心が刺激されました。
本記事を読んで興味を持っていただいたクリエイターの方は、ぜひ次回のHack Dayには参加ください。ハッカソンで24時間コミットするのは難しいという方は、見てるだけでも「自分もなんか作ろ!」と刺激を受けられる場になっているので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいなと思います。
また次回もお会いしましょう。
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