こんにちは、Developer Relations アドボケイトの山本です。ヤフー主催のクリエイターフェス「Yahoo! JAPAN Hack Day」をご存じでしょうか?
今でこそ企業や年齢の枠をこえ独創性・技術力を発露しあう日本最大級のハッカソン、展示・体験コーナーで誰もがテクノロジーを楽しめるフェスとして認知されてきていると思いますが、もともとは社内のハッカソンイベントとしてHack Dayの歴史は始まりました。
この社内ハッカソンとしてのHack Dayは今も継続しています。先日も第16回が開催され、東京、名古屋、大阪、福岡、ベトナムにある各拠点から合計200人超の社内クリエイターが参加しました。
この記事ではヤフーのクリエイター文化を語るには欠かせない社内ハッカソン「Internal Hack Day」について紹介します。
Internal Hack Dayとは
「Internal Hack Day」は12年の歴史があり今回16回目を迎えた社内ハッカソンです。
年2回開催していた期間が長かったのですが、2013年から年2回の内1回を社外を巻き込んだオープン版(現在の「Yahoo! JAPAN Hack Day」)に、もう1回を社内版として開催しています。
そういった経緯もあってオープン版と社内版に分けてしばらくはオープン版を「Open Hack Day」、社内版を「Hack Day」と呼んでいたのですが、社外にもHack Dayというフレーズが浸透し、新入社員の中にはオープン版のHack Dayがきっかけでヤフーに入社してくれるようなケースも多くなってきたことから、オープン版を「Yahoo! JAPAN Hack Day」、社内版を「Internal Hack Day」と呼び名を変えて今に至ります。
ルール
ルールは「Yahoo! JAPAN Hack Day」と同様、以下の通りです。
- テーマは自由
- 開発時間は24時間(12時間x2日)、その中で動くプロトタイプを作る
- プレゼン時間は90秒
社内ハッカソンの意義
「Internal Hack Day」の大きな特徴に「業務」として取り組むという点があります。
このような背景もあって、長らく社内コミュニケーションを支えてくれたチャットシステム「MYM」を始め、普段の業務をもっとイイ感じにしたい! という社内クリエイターの思いが詰まった作品が数多く生まれてきました。
他にも新規事業が生まれるきっかけにもなるなど、人材育成だけには留まらない、ヤフーの大切な文化の一つとなっています。
また作品がそのままの形で公開に至らなかった場合でも、そのアイデアが特許として残り、ヤフーの既存サービスの改善につながるというケースも多く起きています。実際にこれまでの「Internal Hack Day」の中でも数十件の特許が生まれています。特にここ数年は作品発表会に知財担当者が参加して、その日の内に特許性観点でフィードバックを行うといった試みも行っています。
参考リンク:ヤフーの研究開発と知的財産
どんな作品が生まれているのか
前述のMYMに代表される業務改善系の作品以外にも、担当業務の延長線上にない技術にチャレンジした作品、担当業務で培った技術の横展開を狙った作品、新規事業化を狙った作品、なぜ作ったのか本人も説明できないような情熱のほとばしる作品などなど、テーマが自由であることからカテゴライズが難しいさまざまな作品が生まれています。
前述の特許の兼ね合いもあり、全ての作品や詳細の紹介はできませんが、今回の「Internal Hack Day」で生まれた作品をいくつか紹介したいと思います。
SNSで見た観光地と似たような景色を楽しめる観光地を教えてくれる「ウユニ塩湖に行きたいんやが」
SNSでよく目にする旅先のきれいな写真をインプットに、実際の現地まで足を運ぶのは難しいけど、よく似た風景を楽しめる観光地を宿泊数ごとに教えてくれるアプリです。ヤフーショッピングでも活用している「類似画像検索」の技術を使っています。
参考:似た商品が見つかる! Yahoo!ショッピングの類似画像検索 〜 近傍探索NGTの導入事例
お互いのスマホをタッチさせるだけで相性診断「Touch」
お互いのスマホをタッチさせるだけで、普段の行動範囲や金銭感覚をベースにした相性診断が行えるアプリ。iOS13から可能になるNFCの読み取り機能を活用して、交通系ICカードの履歴から診断を行っています。正式リリースされる前のベータ版の技術をさっそく使ってプロダクト化するというのもハッカソンの醍醐味です。
どうやったら奇麗に物撮りできるか教えてくれるカメラアプリ「ぶつ撮り先生」
SNSやフリマ、オークションのために奇麗な写真を撮りたい。そんなニーズに応えてくれるカメラアプリです。被写体の位置、背景とのバランス、明るさ、ピントといった観点で点数やコメントでアドバイスしてくれます。既存サービスの改善につながりそうな作品もこの作品を始め多く開発されました。
糸電話で物理層からトランスポート層を再現する「イートーネット 〜 糸電話でインターネットを再現してみた 〜」
糸電話を物理層に活用して二種類の音を0,1のビットに見立てて通信できる作品です。TCP/IPプロトコルスタックに準拠した実装をしていて、アプリUI、送信側の音の生成、受信側のマイク入力・スペクトル解析まですべてHTML5/JavaScriptで実装されてます。通信速度は1bpsということだったのですが、開発チームと話していて「並列化して高速化したらどうだろう」「同期コストの方が高く付くのでは」とシリアルインターフェースとパラレルインターフェースの高速化の歴史を追体験できたのが印象的でした。こういう情熱あふれる作品が出てくるのもInternal Hack Dayの良さだと思います。
最後に
今回はヤフーのクリエイター文化の象徴でもある「Internal Hack Day」について紹介しました。
もしこの記事を読んで自分もハッカソンにチャレンジしたいなと思っていただけたなら、ぜひ12/14(土)・15(日)秋葉原で開催する「Yahoo! JAPAN Hack Day」への参加をご検討ください。抽選にはなりますが出場チームを絶賛募集中です、秋葉原でお会いしましょう!
参考リンク:Yahoo! JAPAN Hack Day 2019 ハッカソン 募集要項
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