こんにちは。Yahoo!カレンダーでサーバーサイドエンジニアを担当している岡田(@bulbulpaul)です。
Yahoo! JAPANは100を超えるサービスがあります。また、各サービスの開発拠点は東京だけではなく私が働いている大阪や、名古屋、福岡に拠点を構えています。
同一拠点内で開発しているサービスもありますが、私の担当するYahoo!カレンダーのサーバーサイドは3拠点をまたいで10名弱で開発・運用をしています。
今回はそこで抱える課題とチームビルディングをどうやって進めているかについて紹介できればと思います。
背景
私のサーバーサイドチームの取り巻く環境や体制が変わり以下の様な課題が見えていました。
- 共有すべき情報が全体に行き届かない、 見えない
- 質問を誰に聞いていいかわからない、聞きづらい
- お互いの得手不得手を把握できていない
- 組織変更により人の入れ替わりが発生
- 負荷が一部の人に集中している
- 拠点をまたいだコミュニケーションがうまくできていない
- etc..
この状態でチームとして進んだとしても半年後に「バタバタと時間が進み、疲弊だけしてあまり成果は出なかった」と言った悲しい結果になりかねません。なので、普段は3拠点またいで働いているメンバー全員を1カ所に集め一日丸々時間を使い、合宿を実施しました。
実際に実施したコンテンツは以下の通りです。
コンテンツ | ゴール |
---|---|
自己紹介ピッチ | どんな人なのかを知る |
ドラッカー風エクササイズ | お互いを知る(強み、周囲の期待値) |
3拠点での効率的なプロジェクト運用 | プロジェクト運用のシステム化 |
中長期の計画 | ベクトル合わせる |
課題の洗い出し | 技術、 組織的な課題を明確化して共通認識化 |
今回はこの中の「自己紹介ピッチ」「ドラッカー風エクササイズ」の内容を共有できればと思います。
自己紹介ピッチ
なぜいまさら自己紹介…と思われるかもしれませんが、もちろん後から入った人の自己紹介はよくやります。ただ、以前からいるメンバーはする機会もなく意外とその人を知らない事が多いです。あまり肩肘貼らずにできるように以下のテンプレで自己紹介ピッチをしてもらいました。
# 名前
# 出身とか年齢とか
# 好きなこと
# 嫌いなこと
# 実は〇〇
改めて機会を設けて意外な経歴を知れたり、好きなことや嫌いなこと、実は〇〇等で「Aさんって〇〇なのか!!」のイメージも残りやすくちょっとした会話のキッカケや印象に残るのでコミュニケーション上プラスにあたらく事を狙いました。
実際にやってみたところ、
- この人は幅広く技術領域を経験してきている
- 好きなこと、嫌いな事を聞くことで価値観を垣間見れた
- チームメンバーが菅原道真の一族の人がいたと盛り上がり、メンバー間でいい話のキッカケを作ることにも繋がりました。
ドラッカー風エクササイズ
ドラッカー風エクササイズはチーム内のお互いの強みや周りからの期待値の認識を合わせるベストプラクティスの1つです。
チームとして「心理的安全」を構築できる効果があります。「心理的安全」とはチームのメンバー1人ひとりがチームに対して、気兼ねなく発言できる、本来の自分を安心してさらけ出せる、と感じられるような場の状態や雰囲気を指します。
バックグラウンドも経歴も価値観も異なるひとが集まってチームになりゴールを目指します。そこで
- お互いに何も知らない、何を期待されているかわからない状態
- 得意なこと、それぞれ期待されている事がわかっている状態
どちらが、ゴールに到達する可能性が高いかは自明だと思います。
そこで今回は
- 自身は何が得意なのか
- チームやサービスにどういう所で貢献できるか
- チームメンバーから期待されているコト
の3点に絞って時間を10-15分程度設定をし、各々ホワイトボードに付箋を貼って行く方式で実施しました。
はじめはなかなかペンが進まないメンバーも居たのですが、最終的にはある程度出そろい、人の単位ではなく、拠点共通の期待値が出るなど複数拠点をまたぐならではの状況もありました。
最後に一人ずつ自分の得意なこと、貢献できることを発表し、メンバーに貼ってもらった期待されている内容を読みあげ、わからない時はどういった事を期待されているのかを確認しながら進めました。
そうすることで、関わりの少なかったメンバーからも「あの人はそういった事を期待される人なのか」という気づきもあり、チームとしても期待値も合わすことができ、合宿内でも一番好評なコンテンツでした。
3拠点ならではの問題
複数拠点でチームを組んでいると
- 情報が全体に共有されにくい
- 全体の状況把握がしづらくなる
- 拠点をまたいでさっと話す機会がない
といった、いわゆるリモートワークで起こるような課題が起こりやすくなります。
そこでメンバー全員で議論し、会議体の統廃合も含めた整理や3拠点全体での朝会の開始や全体の情報把握しやすいように扱うシステムの見直し、仕組み化をすることで全体の状況が共有されやすい状況へ変更しました。
実際に運用にのせ、まだまだ手探りの段階ですが、以前に比べるとチーム内での情報の見通しが改善されているように体感しています。
チームビルディング合宿を終えて
期のスタート時にこういった機会を設けたのは参加したメンバーからも好感触でした。以前よりも声をかけやすい下地や期待値を共有できたのもチームになる上でいいきっかけを作れたと感じています。課題に関しても共通認識を持つこともでき、その後出た課題を解決するアクションがチーム内で起こっているのでいい方向へ向かっていると感じています。
一方で、上記を実施したから全てが解決したわけではありません。
1つ課題を解決すると見えてくるものも変わってきます。チームとしての成長フェーズが進むと現状とはまた違った課題が現れると思います。ですので、定期的にこういった取り組みをしながら振り返りや認識合わせをし、チームとして成長していきたいと考えています。
世のチームに同じモノはなく、効果的なアプローチも一様にはいかないでしょう。なので、効果がありそうな手法を自身のチームに適合させつつ改善していく事が大事なのではないでしょうか。
今後も改善を続け、チームとしての力を最大化することでユーザーへ価値を提供していきたいと思います。
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